EMSの送り状は手書きでも作れますが、国際郵便マイページサービスを使えば画面入力だけで送り状・税関告知書・インボイスが一式そろいます。ただし操作画面には独特の癖があり、初見ではまず引っかかります。確定ボタンを押したのに保存されていない、初期値が「贈物」のまま進んでしまう、入力した金額でアラートが出て画面が固まったように見える——このあたりは実際に触らないと分かりません。この記事では7ステップのウィザードを順に追いながら、実際につまずいた箇所を先回りして解説します。
先に読んでほしい:米国宛ての販売品はこれだけでは完結しない
手順の前に、2026年9月時点でもっとも重要な注意点を書きます。
米国宛ての「販売品」は、国際郵便マイページサービスだけでは差し出せません。eBayなどで売れたものを送る場合、価格に関わらず関税事前払いアプリ(Zonos Prepay)での手続きが必要です。免除されるのは書類と、個人間の贈り物(100USドル以下)だけです。
やっかいなのは、マイページ側はエラーを出さず、送り状の登録も印刷もできてしまう点です。そのまま郵便局へ持ち込むと、窓口で「関税を事前に払ってから」と指摘されます。正しい流れは、関税事前払いアプリの中で内容品登録から関税支払い、ラベル作成まで済ませること。そこで発行される追跡番号が実際に使うもので、マイページで先に作った番号は使いません。
あわせて読みたい 米国宛て発送は関税事前払い(DDP)が義務化|何がいつから変わったか
したがってこの記事の手順は、次のような場合に使ってください。
- 米国以外の国へ送る場合(カナダ、欧州、アジアなど)
- 米国宛てでも書類を送る場合
- 米国宛ての料金・重量帯・入力項目を事前に把握しておきたい場合
国際郵便マイページサービスとは
日本郵便が提供している、国際郵便の送り状をオンラインで作成できる無料サービスです。手書きの複写伝票の代わりに、画面で入力した内容から送り状・税関告知書・インボイス・ご依頼主控え・EMS受取書までPDFで出力できます。
個人会員と法人会員があり、個人事業として使う場合でも個人会員で問題ありません。差出人名は登録名のほか、入力画面から屋号などを直接打ち込むこともできます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用料 | 無料 |
| 出力できる書類 | 送り状、税関告知書、インボイス、ご依頼主控え、EMS受取書 |
| 対応する発送方法 | EMS、国際小包、国際eパケット系、小形包装物など |
| 米国宛てEMSの料金 | 第4地帯。500gまで3,900円、600gで4,180円、1kgで5,300円 |
| 基本補償 | 損害要償額を空欄にすると20,000円まで自動適用 |
| 印刷 | 自宅プリンタ、または窓口で番号を伝えて印刷してもらう |
全体の流れ:7ステップのウィザード
ログイン後、「送り状作成」から次の順に進みます。
- ご依頼主選択
- お届け先選択
- 内容品登録
- 発送情報登録
- 登録内容の確認・登録
- 送り状印刷
- 完了
各ステップに戻れる「〜を修正する」ボタンがあるので、途中で間違いに気づいても最初からやり直す必要はありません。
ステップ1 ご依頼主選択
登録済みの住所から選ぶか、「ご依頼主の入力」から直接入力します。屋号で送りたい場合は直接入力を使います。
入力例(架空の事業者です)。
- お名前:Sakura Trading
- 郵便番号:100-0001
- 住所2:1-1-1 Chiyoda
- 住所3:Chiyoda-ku
- 都道府県:Tokyo
- 電話番号:090-1234-5678
注意点が2つあります。
まず建物名は書かないのが無難です。住所欄の文字数と海外配送業者側の表記ゆれを考えると、番地までで統一したほうがトラブルが少なくなります。
もう一つは電話番号の桁数です。携帯電話は11桁が正しく、10桁で入力されていたら1桁足りない可能性が高いので確認してください。番号を別の人から口頭で受け取ったときに起きやすいミスです。
ステップ2 お届け先選択
販売プラットフォームの注文情報(受取人名・会社名・住所・電話番号)をそのまま「お届け先の入力」に入れます。
ここで引っかかるのが「お名前」欄が1つしかない点です。会社宛てで個人名も指定されている注文では、次のように1つの欄にまとめて入れます。
- 例:Example Trading LLC, John Smith
受取人の住所は注文データからコピーして貼り付けるのが確実です。手で打ち直すと州の略号やZIPコードを打ち間違えやすく、配達不能の原因になります。
ステップ3 内容品登録:ここが最大の難所
このステップには、知らないと必ず引っかかる癖があります。
発送種別と発送方法の選択
- 物品を送るなら「EMS(物品)または税関検査対象」を選ぶ。書類用の「EMS(書類)」ではありません
- 発送方法は「航空便」を選ぶ。EMSは航空便しかありませんが、明示的にクリックしないとエラーになることがあります
確定ボタンが1回では効かない
内容品名・単価・原産国・重量(g)・個数を入力して「確定」を押しますが、1回目のクリックではページが再描画されるだけで保存されないことがあります。
確認方法は簡単です。「内容品リスト」ボタンを押すと、保存されていない場合は「『確定』を押していない内容品があります」という警告が出ます。「いいえ」で戻ってもう一度「確定」を押すと、今度は内容品リストに反映されます。
この挙動を知らないと、入力したはずの内容品が消えたように見えて何度も打ち直すことになります。
内容品種別の初期値は「贈物」
ネット通販で売れたものを送る場合、必ず「ネット販売品(通販)」に変更してください。初期値が「贈物」になっているため、意識しないとそのまま通ってしまいます。販売品を贈り物として申告するのは虚偽申告にあたります。
単価の通貨
米ドル建てで売れた商品は、当日のレートで円換算した額を入力します。通貨をUSDに変更して直接ドルで入力することもできます。どちらでも構いませんが、帳簿の記録と揃えておくと後で照合しやすくなります。
ステップ4 発送情報登録
発送予定日は自動的に当日の日付が入ります。ここで入力するのは主に重量と有償・無償の区分です。
総重量は梱包後の実測が理想
郵便料金はこの重量から自動計算されます。500gを1gでも超えると次の重量帯の料金になるため、梱包材まで含めて量ってから入力するのが確実です。実測できない場合は仮の値で進められますが、窓口で実測されて料金が変わります。
有償・無償の初期値は「無償」
ここも初期値の罠です。販売品は必ず「有償」に変更してください。内容品種別の「贈物」と同じく、初期値のまま進めると実態と違う申告になります。
損害要償額でアラートが出ることがある
損害要償額の欄に内容品総額を超える額を入れて次へ進むと、「損害要償額の上限は◯◯円までです」というブラウザのアラートダイアログが出ます。
このダイアログが出ている間、ページ全体が操作を受け付けなくなるため画面が固まったように見えますが、実際は単にアラートが表示されているだけです。ダイアログを閉じてから、損害要償額を内容品総額(円換算)と同額かそれ以下に直してください。
なお空欄にしておけば20,000円までの補償が自動的に適用されます。内容品総額がそれ以下なら、空欄のままで問題ありません。
発送通知メールは初期状態では飛ばない
配送ステータスのメール通知は「(未設定)」のままだと送信されません。メールで追跡したい場合は、このステップで通知先アドレスと送信要否を明示的に設定する必要があります。
ステップ5 登録内容の確認・登録
全項目を見直して「送り状を登録する」を押すと確定します。この時点で郵便料金が確定し、追跡番号(お問い合わせ番号)が発行されます。
修正が必要な場合は、各項目の横にある「〜を修正する」ボタンから該当ステップへ戻れます。
ステップ6・7 送り状印刷と完了
「送り状の登録が完了しました。」の画面で追跡番号が発行されます。EN+9桁+JPの形式です。
「注意事項に同意して送り状を印刷」を押すと、送り状・税関告知書・インボイス・ご依頼主控え・EMS受取書がPDFプレビューで表示されます。
ここで多くの人が悩むのが、プリンタがない場合です。結論から言うと印刷は必須ではありません。郵便局の窓口でお問い合わせ番号を伝えれば、郵便局側で書類一式を印刷してもらえます。日本郵便のFAQにも明記されている方法です。
なお、スマートフォン版で作成した送り状ならゆうプリタッチ用の二次元コードが使えますが、パソコン版で作成したデータには二次元コードが発行されません。この違いは別記事で詳しく整理しています。
あわせて読みたい ゆうプリタッチが使えない理由|国際郵便マイページのPC版とスマホ版の違い
実際に使って分かった細かい注意点
- ログインセッションがすぐ切れる:ただし各入力ステップに「保存されたデータがあります」という復元機能があるため、再ログイン後に「ご依頼主の入力」「お届け先の入力」等を選び直せば、入力済みの内容がそのまま残っています。慌てて最初から打ち直す必要はありません。
- 問い合わせ先:操作で分からないことがあれば、日本郵便の問い合わせ窓口(0570-015-159、平日9:00〜17:00)で確認できます。
送り状を作る前に、中身が国際郵便で送れる物かも見ておきましょう。日焼け止めやヘアトニックはアルコール濃度24%を超えると送れず、引受けの後のX線検査で見つかると外国に出る前に返送されることがあります。品目ごとの条件は国際郵便・EMSで送れない物を参考にしてください。
米国宛てEMSの料金(2026年9月時点)
参考として重量帯別の料金を挙げます。米国は第4地帯です。
| 重量 | EMS料金(米国宛て) |
|---|---|
| 500gまで | 3,900円 |
| 600gまで | 4,180円 |
| 1kgまで | 5,300円 |
関税まで含めた総額で比べたい場合は、発送コスト比較ツールで重量とサイズを入れて確認すると早く判断できます。
米国宛てのEMSは重さ30kgまでです。長さ+横周は2.75m以内で、多くの国の3mより短く決められています。サーフボードや楽器のように長さのある物は、重さに余裕があってもこの寸法で送れないことがあります。郵便の上限に収まらないときの方法は30kgを超える荷物を海外へ送る方法で取り上げています。
よくある質問
Q. プリンタがなくても送り状を作れますか
作れます。窓口でお問い合わせ番号(EN+9桁+JPの形式)を伝えれば、郵便局側で書類一式を印刷してもらえます。追跡番号も変わりません。
Q. 内容品の「確定」を押したのに消えてしまいます
1回目のクリックが反映されないことがあります。「内容品リスト」ボタンを押して警告が出るようなら未保存です。「いいえ」で戻ってもう一度「確定」を押してください。
Q. 損害要償額はいくらに設定すべきですか
空欄なら20,000円まで自動で補償されます。内容品総額が20,000円を超える場合のみ、その総額と同額かそれ以下の範囲で設定してください。総額を超える額を入れるとアラートが出ます。
Q. 重量が分からないまま登録してもいいですか
仮の値で登録は進みますが、窓口で実測されるため料金が変わります。重量帯の境目(500g・600gなど)をまたぐと数百円単位で変動するので、梱包後に量ってから登録するほうが確実です。
Q. 登録した送り状を取り消せますか
発送履歴の詳細画面から「削除」または「出荷取りやめ」が選べます。ただし内容を作り直すと新しい送り状扱いになり、追跡番号も変わります。
Q. 米国宛てはどの郵便局に持ち込んでもいいですか
いいえ。2026年4月14日の引受再開以降、米国宛ては指定郵便局でのみ取り扱われます。最寄りの局が対象かどうか事前に確認してください。
あわせて読みたい 米国宛て発送の「指定郵便局」とは|デミニミス制度の変更後に変わった引受ルール
Q. 発送通知のメールが届きません
通知設定が「(未設定)」のままだとメールは送信されません。ステップ4の発送情報登録で、通知先アドレスと送信要否を明示的に設定する必要があります。
まとめ
この記事の要点
- 米国宛ての販売品は、国際郵便マイページサービスだけでは差し出せない。関税事前払いアプリでの手続きが別途必要
- ウィザードは7ステップ。各ステップに戻れるので途中の修正は可能
- 内容品の「確定」ボタンは1回目が効かないことがある。内容品リストで確認する
- 内容品種別の初期値は「贈物」、有償・無償の初期値は「無償」。販売品はどちらも変更が必要
- 損害要償額は空欄で20,000円まで補償。超える額を入れるとアラートで画面が固まったように見える
- プリンタがなくても、窓口でお問い合わせ番号を伝えれば印刷してもらえる
- 米国宛てEMSは500gまで3,900円、600gで4,180円、1kgで5,300円(2026年9月時点)
出典:日本郵便 国際郵便マイページサービスの画面表示および同社FAQ、日本郵便の国際郵便料金表。操作上の癖・つまずいた箇所は、運営者が2026年9月に実際に送り状を作成した記録に基づきます。料金・制度はいずれも2026年9月時点の情報です。記事中の差出人・受取人の入力例はすべて架空のものです。