海外通販で買い物をすると、商品代金とは別に関税と消費税を請求されることがあります。同じくらいの金額を買っても、まったく税金がかからないことがあれば、数千円をまとめて請求されることもあります。この差は運ではなく、課税価格・1万円・20万円という三つの数字で機械的に決まっています。この記事では2026年9月時点のルールを前提に、個人輸入の税金がどういう順番で決まるのかを整理します。あわせて、海外から仕入れて国内で売り、国内から海外へも売っている事業者の立場から、輸入する側と輸出する側の両方で実際に動いた金額も載せます。
結論から。海外通販の税金は三つの数字で決まる
個人輸入の関税と消費税は、次の三つを順番に確認すれば大枠が出ます。品目ごとの細かい税率を調べるのは、この三つを確定させたあとで構いません。
| 確認する順番 | 何を見るか | 結果 |
|---|---|---|
| 1 | 課税価格はいくらか | 個人使用なら海外小売価格×0.6。それ以外は商品代+送料+保険料 |
| 2 | 課税価格が1万円以下か | 1万円以下なら原則として関税・消費税とも免税。ただし革製品とニット衣類などは除外 |
| 3 | 課税価格が20万円以下か | 20万円以下なら7区分の簡易税率。超えると一般税率が適用され、輸入申告も必要になる |
つまり「関税率が何パーセントか」を調べるより先に、課税価格をいくらと見なされるかを押さえたほうが早いということです。多くの人が最初につまずくのもここです。
課税価格の決め方は「個人使用」か「転売目的」かで変わる
個人使用なら海外小売価格に0.6を掛ける
税関は「個人の方がご自身の個人的使用の目的で輸入する貨物の課税価格は、海外小売価格に0.6を掛けた金額となります」と明示しています。海外の店頭価格が1万円でも、自分で使う目的なら課税価格は6,000円という扱いです。
ここで見落とされがちなのが送料の扱いです。個人使用の0.6掛けで計算する場合、課税価格に国際送料や保険料は足しません。0.6という係数が、小売段階の価格を卸売段階に引き直す調整を兼ねているためです。「商品代+送料+保険料」を足すのは、次に説明する事業向けの計算方法のほうです。
転売目的・事業目的なら商品代+送料+保険料
売ることを前提に仕入れる場合は0.6掛けは使えません。課税価格は商品の価格に運送費と保険料を足したCIF価格になります。同じ買い物でも、個人使用として通すか仕入れとして通すかで課税価格は倍近く変わります。
海外小売価格が5万円、国際送料が5,000円の商品を買った場合の比較(2026年9月時点のルール)
- 個人使用として輸入 課税価格 50,000×0.6=30,000円
- 仕入れとして輸入 課税価格 50,000+5,000=55,000円
課税価格が25,000円違うので、関税率10%の品目なら関税だけで2,500円、消費税まで含めると5,000円前後の差になります。
中国から仕入れる場合の簡易税率、DHLの立替納税手数料、国内で売る前に確かめる法律は、中国から仕入れるときの関税と消費税にまとめました。プラスチック製品を商品300USD+送料60USDで仕入れる例では、税の合計は7,300円で、個人使用として計算した3,600円の約2倍です。
0.6掛けの特例は2028年4月1日に廃止が決まっている
この0.6掛けについては、すでに廃止する法律が成立しています。関税定率法等の一部を改正する法律(令和8年法律第5号、2026年3月31日公布)で「個人使用貨物に限り課税価格を海外小売価格の6割にする特例を廃止する」と定められました。
ただし施行日は令和10年4月1日、つまり2028年4月1日です。同じ改正法でも項目ごとに施行日が違い、0.6掛けの廃止だけが2年遅れで効きます。2026年9月時点では0.6掛けはまだ現役のルールです。「2026年に廃止された」と書いている解説を見かけますが、法律の附則上は2028年4月1日からです。実際に買い物をするときは、この記事も含めて日付と施行日をセットで確認してください。
課税価格1万円以下は原則免税、ただし外れる品目がある
課税価格の合計額が1万円以下の物品は、関税と消費税が免除されます。0.6掛けと組み合わせると、個人使用なら海外小売価格でおよそ16,666円までが免税ラインということになります。
注意したいのは、この免税から外されている品目があることです。税関は「関税を免税しない物品」として、革製のカバン、ハンドバッグ、手袋、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴および本底が革製の履物類などを挙げています。これらは課税価格が1万円以下でも課税されます。海外通販で買われやすいものばかりなので、ここは覚えておく価値があります。
なお、酒税やたばこ税は1万円以下でも免除されません。詳しい除外品目と、なぜ革とニットだけ狙い撃ちされているのかは別記事で扱います。
あわせて読みたい 課税価格1万円以下は免税|少額輸入貨物の簡易税率をわかりやすく解説
AliExpressで自分用に買う場合は、商品価格16,666円までが免税の目安です。郵便で届いて税がかかったときに受け取りで払う「税合計+取扱手数料200円」の例は、AliExpressで買うと関税・消費税はかかる?にまとめました。
韓国通販で化粧品や服を買う場合も同じ考え方で計算でき、化粧品は関税が無税のため1万円を超えてもかかるのは消費税だけ、服(ニット以外)は簡易税率10%が目安です。25,000円の化粧品で税合計が1,400円ほどになる例などは韓国通販で買うと関税・消費税はかかる?にまとめました。
20万円を超えると簡易税率が使えなくなる
課税価格の合計額が20万円以下の一般輸入貨物と国際郵便物には、簡易税率が適用されます。数千ある品目分類を7区分にまとめたもので、関税定率法第3条の3に基づきます。2026年9月時点の内容は次のとおりです。
| 区分 | 品目例 | 関税率 |
|---|---|---|
| 1 | 酒類(ワイン/焼酎等の蒸留酒/清酒、りんご酒等) | 70円/L / 20円/L / 30円/L |
| 2 | トマトソース、氷菓、なめした毛皮(ドロップスキン)、毛皮製品 等 | 20% |
| 3 | コーヒー、茶(紅茶を除く)、なめした毛皮(ドロップスキンを除く)等 | 15% |
| 4 | 衣類および衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く)等 | 10% |
| 5 | プラスチック製品、ガラス製品、卑金属(銅、アルミニウム等)製品、家具 等 | 3% |
| 6 | ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品、すず製品 | 無税 |
| 7 | その他のもの | 5% |
20万円を超えると、この表は使えません。実行関税率表から品目ごとの税率を引くことになり、国際郵便であっても税関への輸入申告が必要になります。郵便で買い物をしていた人が急に通関業者とやりとりすることになるのはこのラインです。
なお、20万円以下でも簡易税率が使えない品目があります。米などの穀物、ミルク・クリーム、食肉調製品、たばこ、精製塩に加えて、旅行用具・ハンドバッグなどの革製品、ニット製衣類、履物が名指しで除外されています。1万円以下の免税から外れている品目とほぼ同じ顔ぶれです。この二重の除外が効くので、革とニットは個人輸入でいちばん税金が重くなります。
あわせて読みたい 革製品・ニット衣類は関税率が高い|品目別の簡易税率一覧
関税と消費税はこの順番で計算される
税額は関税、消費税、地方消費税の順に積み上げます。消費税は10%ですが、内訳は国税7.8%と地方消費税2.2%で、地方消費税は消費税額の22/78として別に計算します。各段階で切り捨てが入るのが特徴です。
- 課税価格を出す(個人使用なら海外小売価格×0.6)
- 課税価格の1,000円未満を切り捨てて関税率を掛ける
- 関税額の100円未満を切り捨てる
- 課税価格(切り捨て前)に切り捨て後の関税額を足し、1,000円未満を切り捨てて7.8%を掛ける
- 消費税額の100円未満を切り捨てる
- 切り捨て後の消費税額に22/78を掛け、100円未満を切り捨てて地方消費税を出す
米国のショップで衣類(ニット以外)を300ドル買い、個人使用で輸入した場合を、2026年9月20日から26日に適用される税関長公示レート1ドル154.32円で計算すると次のようになります。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 海外小売価格 | 300ドル×154.32円 | 46,296円 |
| 課税価格 | 46,296×0.6 | 27,777円 |
| 関税 | 27,000円(1,000円未満切捨て)×10% | 2,700円 |
| 消費税の課税標準 | 27,777+2,700=30,477→30,000円 | 30,000円 |
| 消費税(国税7.8%) | 30,000×7.8%=2,340→100円未満切捨て | 2,300円 |
| 地方消費税 | 2,300×22/78=648→100円未満切捨て | 600円 |
| 税額合計 | 2,700+2,300+600 | 5,600円 |
46,296円の買い物に対して税金は5,600円、率にすると12.1%です。ここに国際郵便なら日本郵便の通関料が1個につき200円、国際宅配便なら各社の立替手数料が別に乗ります。計算過程を1円単位で追った例は別記事にまとめています。
あわせて読みたい 関税・消費税の計算式を具体例で解説|商品価格と送料からどう計算するか
関税・消費税計算ツールで自分の買い物の税額を試算すると、この6段階の計算と端数処理を入力値から自動で通せます。
仕入れる側と売る側を両方やって見えたこと
ここからは一般的な制度の説明ではなく、運営者が実際に動かしている数字です。海外から仕入れる側と、日本から海外へ送る側の両方をやっていると、関税は「率」ではなく「1件あたりいくら乗るか」で見ないと判断を誤ることが分かります。
仕入れる側。同じ海外通販でも税込みかどうかで原価が変わる
イタリアのアウトレット通販YOOXの日本向け販売はDDP、つまり関税・消費税込みの価格です。表示価格がそのまま原価になり、受け取り時に追加請求はありません。
一方、BUYMAで海外発送の商品を買う場合は関税が購入者負担です。2026年9月4日にセール一覧を実測して原価を計算したときは、バッグ類で5,000〜6,000円を関税として上乗せしないと本当の原価にならないという結果でした。「関税負担なし」アイコンが付いている商品だけが表示価格イコール原価です。表示価格が同じ10万円でも、DDPの店と関税別の店では原価が5,000円以上違います。
韓国の通販サイトの商品は、購入代行のサービスを通して買う方法もあります。代行を使っても、日本に届くときの関税・消費税の考え方はこのページと同じです。原価は、代行の手数料と国際送料を足した支払いの総額で見てください。
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売る側。日本から米国へ送ったときに実際に払った額
逆方向、日本から米国へ販売品を送る場合は、こちらが関税を前払いする仕組み(Zonos Prepay)になっています。2026年に実際に決済した3件の内訳です。
| 時期 | 内容品 | 内容品価格 | 関税 | 手数料 | 合計 | 実効率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年9月 | 腕時計 | 18,527円 | 2,316円 | 793円 | 3,109円 | 16.8% |
| 2026年9月 | トレーディングカード | 約7,800円 | 0円 | 552円 | 552円 | 7.1% |
| 2026年9月 | ボールペン | 3,611円 | 451円 | 608円 | 1,059円 | 29.3% |
注目してほしいのは3件目です。関税は451円なのに手数料が608円で、手数料が関税を上回っています。手数料は「556円+関税額×10.3%」で決まり、関税がゼロに近いほど556円に近い定額になります。安い商品ほど率で見たときの負担が跳ね上がる理由です。トレーディングカードは関税率0%でしたが、それでも552円は取られています。
この構造は方向が逆でも同じです。海外から日本へ輸入するときも、郵便なら通関料200円、宅配便なら立替手数料が1件ごとに乗ります。関税率0%の品目でも、輸入にかかるコストはゼロにはなりません。少額の買い物を何回にも分けると、この固定費だけが回数分積み上がります。
両方向をやって得た実務的な結論は、税金は率ではなく1件あたりの総額で見るということです。3,611円の荷物に1,059円が乗るなら、それは商品代の3割です。この感覚は、率だけを見ている限り出てきません。
日本から海外へ送る側のコストを比較したい場合は発送コスト比較ツールを使ってください。EMS・国際エアパケット・DHL・FedExを、関税込みと送料のみの2モードで横並びにできます。
輸送方法で手続きと手数料が変わる
| 輸送方法 | 通関の主体 | 税金以外にかかるもの | 20万円超のとき |
|---|---|---|---|
| 国際郵便 | 税関が課税通知書を発行し、日本郵便が受け取り時に徴収 | 通関料 1個につき200円 | 自分または通関業者が輸入申告 |
| 国際宅配便(DHL・FedEx等) | 業者が通関を代行し、立替払いする | 立替手数料(DHLは運送状1枚あたり2,200円か関税・諸税の2%の高い方。FedEx・UPSは公式サイトで確認できませんでした) | 同じく業者が代行することが多い |
| 一般貨物(航空便・船便) | 受取人が保税地域を管轄する税関へ申告 | 通関業者への手数料、保管料など | もともと輸入申告が前提 |
国際郵便には、税金の合計額が1万円以下の場合、あるいは1万円を超えて30万円以下で名宛人が配達を希望する場合には、課税通知書と納付書とともに荷物がそのまま配達されるという運用があります。配達員に税金と通関料を払えばその場で受け取れます。ここで出てくる30万円は税額の話であって、課税価格の20万円とは別の基準です。混同しないでください。
税金を払わずに受け取らないでいると、課税された郵便物は1か月の保管期間を過ぎたあと、原則として差出人に返送されます。配達時と郵便局での払い方の違いや、金額に納得できないときの問い合わせ先は海外通販の関税・消費税はいつどこで払う?にまとめました。
2028年4月に何が変わるのか
2026年9月時点で、少額輸入に関わる制度変更が二つ決まっています。どちらも施行は2028年4月1日です。
- 関税側 個人使用貨物の0.6掛け特例を廃止(令和8年法律第5号、施行は令和10年4月1日)
- 消費税側 国境を越えた通信販売のうち1万円以下の少額輸入貨物の販売を消費税の課税対象とし、大手プラットフォーム事業者に納税義務を転換する(令和8年度税制改正大綱、令和10年4月1日以後に適用)
この二つが揃うと、実質的な免税ラインは海外小売価格ベースで16,666円から1万円へ下がり、さらに1万円以下の買い物にも消費税がかかるようになります。逆にいえば、2026年9月時点ではどちらもまだ動いていません。
よくある質問
関税がかからなかったのに消費税だけ請求されたのはなぜですか
簡易税率の区分6(ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品、すず製品)のように関税率が無税の品目でも、消費税と地方消費税は別に課されます。税関も「無税のものについては、内国消費税および地方消費税のみが課税されます」と明記しています。
分けて注文すれば1万円以下の免税を何回も使えますか
使えません。郵便物については、同一差出人から同一名宛人に同一時期に分散して送られたものは、分割されたすべての郵便物の課税価格を合計して判定します。重量制限で分割された荷物も合算されます。
ギフトとして送ってもらえば税金はかかりませんか
贈り物であっても課税価格が1万円を超えれば課税されます。ただし「関税を免税しない物品」に指定されている革製品やニット衣類でも、個人的使用に供されると認められる贈与品で課税価格が1万円以下であれば免税になるものがあります。判断するのは税関です。
為替レートはいつのものが使われますか
輸入申告の日が属する週の前々週の、実勢外国為替相場の週間平均値です。税関長が公示します。買った日のレートでも、カードの請求レートでもありません。2026年9月20日から26日に適用されるレートは1ドル154.32円、1ユーロ179.35円でした。
簡易税率と一般税率はどちらか選べますか
輸入者が貨物の全部について一般の関税率を希望した場合は、一般税率が適用されます。ただし部分的な適用はできません。品目によっては一般税率のほうが低いことがあるので、金額が大きいときは比べる価値があります。
関税を安く見せるために申告価格を下げてもらうのは問題ありませんか
過少申告は脱税です。税関は課税通知書の価格に疑問がある場合、仕入書や購入履歴の提出を求めます。事業として継続的に輸入するなら、指摘を受けた時点の追徴と信用の損失のほうがはるかに高くつきます。
まとめ
2026年9月時点の個人輸入、押さえるべき点
- 課税価格は個人使用なら海外小売価格×0.6、転売目的なら商品代+送料+保険料
- 0.6掛けの廃止は決定済みだが、施行は2028年4月1日。2026年9月時点ではまだ有効
- 課税価格1万円以下は原則免税。ただし革製品・ニット衣類・履物などは除外
- 課税価格20万円以下は7区分の簡易税率。超えると一般税率と輸入申告が必要
- 税額は関税→消費税→地方消費税の順に、切り捨てを挟みながら積み上げる
- 関税率0%でも郵便の通関料200円や宅配便の立替手数料は必ずかかる。率ではなく1件あたりの総額で見る
金額を具体的に知りたい場合は関税・消費税計算ツールに商品価格と送料を入れてください。品目区分と免税判定、端数処理まで通した概算が出ます。
出典 税関「少額輸入貨物の簡易税率」、税関カスタムスアンサー1006「課税価格の合計額が1万円以下の物品の免税適用について」、同6101「国際郵便物の通関手続の概要」、同3002「個人輸入の通関手続」、税関「外国為替相場(課税価格の換算)」2026年9月20日から26日適用分、財務省「関税定率法等の一部を改正する法律案について」(令和8年2月)、財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)、MIPRO「小口輸入の通関手続き 2026」。いずれも2026年9月時点で確認。DHL Express「オプションサービス」の立替納税手数料は2026年10月21日に確認。