関税と送料の基礎知識

中国から仕入れるときの関税と消費税|個人輸入と違う課税価格の計算と費用の例(2026年10月)

中国から商品を仕入れて日本で売る場合、関税と消費税の計算は個人輸入と同じではありません。自分で使う物なら海外小売価格に0.6を掛けた額が課税価格になりますが、販売目的の仕入れでは0.6掛けは使えず、商品代に送料と保険料を足した額が課税価格になります。同じ商品・同じ送料でも、税額は個人使用で計算した場合のおよそ2倍になります。この記事では税関などの公式ページの原文をもとに、仕入れでかかる税と手数料、売る前に確かめる法律をまとめました。

  • 仕入れ(販売目的)は0.6掛けが使えない。課税価格は商品代+輸入港までの送料+保険料
  • 課税価格の合計が20万円以下なら簡易税率が使える。プラスチック製品は3%、その他のものは5%など
  • 課税価格の合計が1万円以下なら関税と消費税は免税。ただし革製のカバンやハンドバッグ、編物製衣類などは免税にならない
  • DHLで関税を立て替えてもらうと、立替納税手数料は運送状1枚あたり2,200円か、関税・諸税の2%の高い方
  • 課税事業者なら輸入時に払った消費税は仕入税額控除の対象。免税事業者は控除できず原価になる
  • 電気製品はPSEと事業の届出、食器や調理器具、乳幼児用おもちゃは食品衛生法の届出が必要

確認日 2026年10月19日(税関・財務省・e-Gov法令・厚生労働省・DHL Japan・Alibaba.comの公式ページ)

個人輸入と仕入れで課税価格が違う

関税も輸入時の消費税も、課税価格をもとに計算します。この課税価格の決め方が、個人使用か販売目的かで分かれています。

税関の「少額輸入貨物の簡易税率」のページには、「個人の方がご自身の個人的使用の目的で輸入する貨物の課税価格は、海外小売価格に0.6を掛けた金額となります。その他の貨物の課税価格は、商品の価格に運送費および保険料を足した金額になります。」とあります。0.6掛けは、個人使用の貨物を「通常の卸取引の段階で輸入された場合の価格」とみなすための特例です(カスタムスアンサー1405、関税定率法第4条の5・4条の6)。

販売目的の仕入れは「その他の貨物」にあたります。課税価格は実際に支払った価格に、輸入港までの運賃と保険料を足した額です(カスタムスアンサー1403、関税定率法第4条第1項)。

項目 個人使用(自分で使う物) 仕入れ(販売目的)
課税価格の元になる額 海外小売価格 実際に支払った商品代
0.6掛け 使う 使わない
送料・保険料 課税価格に足さない 輸入港までの分を足す
根拠 関税定率法第4条の5・4条の6 関税定率法第4条第1項

商品代だけを見て「この金額なら税は少ない」と考えると、送料の分と0.6掛けがない分だけ見込みより高くなります。

計算例

円換算は1USD=158.02円で計算しました。欧州中央銀行の参照レート(2026年10月16日)のJPY177.82をUSD1.1253で割った値です。実際の通関では、税関長が公示するレートで換算されます。消費税は国税7.8%、地方消費税は国税の22/78です。関税の計算では課税価格の1,000円未満を切り捨て、消費税の課税標準は課税価格+関税の1,000円未満を切り捨て、税額は100円未満を切り捨てます。

例1 プラスチック製品(スマホスタンドなど)

商品300USD+送料60USDで仕入れた場合です。プラスチック製品の簡易税率は3%です。

項目 仕入れとして計算 個人使用として計算した場合(比較)
課税価格 56,887円(360USD×158.02) 28,443円(47,406円×0.6)
関税 1,600円(56,000円×3%=1,680円を切り捨て) 800円
消費税の課税標準 58,000円 ―
消費税(国税) 4,500円 2,800円(国税と地方の合計)
地方消費税 1,200円
税合計 7,300円 3,600円

仕入れとして計算すると、個人使用の計算の約2倍になります。DHLで届き、関税を立て替えてもらった場合は立替納税手数料2,200円がかかります。税の2%は146円なので、高い方の2,200円です。税と手数料を合わせると9,500円です。

例2 革製のハンドバッグ

400USD+送料80USDで仕入れた場合です。革製のハンドバッグは簡易税率の対象外で、ここでは当サイトの計算ツールと同じ実行関税率表(2026年8月8日版)の目安8%で計算しています。革製の財布は同じ表で10%と、ハンドバッグとは税率が違います。

項目 金額
課税価格 75,849円
関税 6,000円(75,000円×8%)
消費税の課税標準 81,000円
消費税(国税) 6,300円
地方消費税 1,700円
税合計 14,000円

例3 サンプル注文

本注文の前にサンプルを40USD+送料20USDで取り寄せた場合、課税価格は9,481円です。品目によって結果が分かれます。

品目 関税 消費税 合計
プラスチック製品 0円 0円 0円(1万円以下で免税)
革製のハンドバッグ 700円 800円(国税700円・地方100円) 1,500円(免税にならない)

1万円以下の免税と、免税にならない品目

カスタムスアンサー1006には「課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、その関税及び消費税が免税されます。」とあります(関税定率法第14条第18号、施行令第16条の3)。このページには、個人使用か販売目的かで扱いを分ける文言はありません。判断は1回の申告ごとの課税価格の合計で行われます。

仕入れでは送料も課税価格に入るので、商品代だけで1万円を下回っていても、送料を足すと超えることがあります。例3のように、送料込みで1万円以下に収まるかどうかを見てください。

免税の対象から除かれている品目もあります。原文では「革製のカバン、ハンドバッグ、手袋等、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴及び本底が革製の履物類等」です。これらは少額でも関税と消費税がかかります。ニット衣類は当サイトのツールと同じ実行関税率表の目安で10.9%です。

20万円を超える仕入れとRCEP

簡易税率が使えるのは、課税価格の合計が20万円以下の一般輸入貨物と国際郵便物です(カスタムスアンサー1001)。簡易税率に消費税は含まれないので、消費税は別に計算されます。品目別の簡易税率は次のとおりです。

品目 簡易税率
酒類 ワイン1リットルあたり70円など
毛皮製品、トマトソース、氷菓など 20%
コーヒー、茶(紅茶を除く)など 15%
衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みを除く)など 10%
プラスチック製品、ガラス製品、卑金属製品、家具など 3%
ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品、すず製品 無税
その他のもの 5%

20万円を超えると簡易税率は使えず、品目ごとの実行関税率で計算します。中国からの輸入では、RCEP協定の税率を使える場合があります。税関のRCEPのページには「課税価格の総額が20万円以下の場合には、原産品申告書、認定輸出者による原産地申告及び原産地証明書の提出の省略が可能です。」とあり、カスタムスアンサー1524にも同じ趣旨の記載があります。ただし、提出を省略できても、その商品が原産品であることの確認は必要です。20万円を超える仕入れでは、この提出の省略は使えません。

消費税は仕入税額控除できるか

輸入時に払った消費税の扱いは、仕入れる側が消費税の課税事業者か免税事業者かで変わります。国税庁の質疑応答によれば、課税事業者は輸入時の消費税を仕入税額控除の対象にできます。売上にかかる消費税から差し引く計算に入れられます。

免税事業者は仕入税額控除ができません。輸入時の消費税はそのまま原価になります。例1なら、消費税5,700円(国税4,500円と地方1,200円)を商品の原価に含めて値付けを考えることになります。課税事業者を選ぶかどうかは売上やほかの事情で変わるので、ここでは制度の違いだけを紹介しています。法的・税務の個別の助言ではありません。

国内で売る前に確かめる法律

関税を払って輸入できても、そのまま日本で売ってよいとは限りません。仕入れでよく関係するのは次の3つです。

電気用品安全法(PSE)

コンセントにつなぐ製品などの電気用品を輸入して売る場合です。電気用品安全法第3条は、輸入の事業を行う者に、事業開始の日から30日以内に経済産業大臣へ届け出ることを求めています。第27条では、PSEの表示(第10条第1項の表示)が付いていない電気用品を販売したり、販売の目的で陳列したりしてはならないとされています。PSEの表示がない電気製品は、仕入れても売ることができません。仕入れる前に、輸入者として届出をして表示を付けられるかを確かめてください。

食品衛生法の届出

厚生労働省のページによると、販売や営業のために輸入する食品等は届出が必要です。「対象となる食品等とは、食品、食品添加物、器具、容器包装及び乳幼児用のおもちゃです。」と書かれています。食品だけでなく、食器や調理器具(器具)、乳幼児用のおもちゃも対象です。雑貨のつもりで仕入れた皿やカトラリーも届出が要ることになります。

技適(電波法)

総務省のページでは、技適マークのない無線機を日本で使うと電波法違反になることがあると説明されています。Bluetoothやワイヤレス機能のある商品は、技適マークがあるかを確かめてください。日本で使えない無線機を売らないことが前提になります。

Alibaba.comで仕入れるときに見ておくこと

Alibaba.comは、公式に「世界最大の B2B トレーディングプラットホーム」と説明されている、企業間取引のサイトです。一般の通販サイトとは違い、まとまった数量の注文を前提にした商品が多く、最低注文数量が商品ごとに決まっていることがよくあります。

支払いをAlibaba.comを通して行うと、Trade Assuranceという保護の対象になります。公式ページには「Trade Assurance protects online orders when payment is made through Alibaba.com.」(Alibaba.comを通して支払った注文を保護します)とあり、「30 days after delivery, if you are not satisfied with the product quality, you may request a refund.」(配達から30日以内なら、品質に満足できない場合に返金を申し出られます)とも書かれています。返金ポリシーのページでは、未発送や紛失、不良品などのときに、配達日から30日または60日以内に返金を請求できるとされています。

関税については、Alibaba.comの解説ページで、輸入者(通常は買い手)が負担するものと説明されています。見積もりの金額に日本の関税と消費税は入っていないと考え、この記事の計算を足して原価を出してください。

例1で取り上げたスマホスタンドのようなプラスチック製の小物や、ガラス製品、卑金属製の雑貨などの仕入れ先を探すときに使えます。同じ種類の商品を複数の仕入れ先で比べ、例3のようにサンプルを取り寄せて品質を確かめてから本注文に進む、という使い方ができます。

Alibaba.comで仕入れ先を探す

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2028年4月からの変更

財務省の資料によると、関税定率法等の一部を改正する法律(令和8年法律第5号)で、「個人使用貨物に限り課税価格を海外小売価格の6割にする特例を廃止」することになりました。施行は令和10年(2028年)4月1日です。

廃止されるのは個人使用の0.6掛けです。仕入れの計算はもともと0.6を使わないので、この改正で変わることはありません。個人使用との差がなくなるだけです。

計算ツールについて

当サイトの関税・消費税計算は、個人使用(0.6掛け)を前提にした計算です。仕入れの税額を見積もるときは、商品価格の欄に「(商品代+送料)÷0.6」を入れ、送料の欄は0にしてください。例1なら360USD÷0.6=600USDで、課税価格は仕入れと同じ56,887円になります。商品代をそのまま入れると、例1のように税額が半分程度に出てしまいます。

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出典

いずれも2026年10月19日に確認しました。

本記事は2026年10月19日時点の公式情報にもとづく関税ナビ編集部の整理です。税率や手数料、法令の運用は変わることがあります。実際の税額は輸入申告のときの税関長公示レートと税関の判断で決まるため、大きな仕入れの前には税関や各窓口で最新の内容を確かめてください。

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