個人輸入の関税・消費税

課税価格1万円以下は免税|少額輸入貨物の簡易税率をわかりやすく解説

海外通販で「1万円までなら関税はかからない」という話を聞いたことがあると思います。事実ですが条件が三つ付きます。1万円は値札ではなく課税価格であること、免税から外されている品目があること、そして20万円を超えると簡易税率そのものが使えなくなることです。この記事では2026年9月時点の少額輸入貨物のルールを、税関の公表内容に沿って整理します。数字の出どころが曖昧なまま出回っている情報が多い分野なので、根拠もあわせて示します。

1万円以下は免税。ただし「値札が1万円」ではない

税関は「課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、その関税及び消費税が免税されます」としています。判定するのは購入価格ではなく課税価格です。

そして個人使用目的の輸入では、課税価格は海外小売価格に0.6を掛けた額になります。逆算すると、海外小売価格でおよそ16,666円までが免税の範囲ということです。16,666×0.6=9,999.6円で、1万円をわずかに下回ります。よく見かける「16,666円ルール」はここから来ています。

ただしこれは個人使用の場合だけです。転売目的なら課税価格は商品代に送料と保険料を足したCIF価格になるので、9,000円の商品に2,000円の送料が付けば課税価格は11,000円となり免税ラインを超えます。同じ買い物でも用途で免税かどうかが変わります。

免税判定の基準(税関カスタムスアンサー1006より)

  • 一般貨物 1申告に係る輸入貨物の課税価格の合計額が1万円以下であること
  • 郵便物 1つの包装に梱包された輸入貨物の課税価格の合計額が1万円以下であること

ただし1インボイスの貨物を分割して申告した場合や、同一差出人から同一名宛人に同一時期に分散して送られた郵便物は合計して判定されます。

1万円以下でも免税にならない品目がある

「我が国の産業に対する影響その他の事情を勘案して」免税の対象から外されている物品があります。税関が主なものとして挙げているのは次のとおりです。

  • 革製のカバン、ハンドバッグ、手袋等
  • 編物製衣類(Tシャツ、セーター等のニット製品)
  • スキー靴
  • 革靴および本底が革製の履物類等
  • パンスト、タイツ

具体的な範囲は関税定率法施行令第16条の3に定められています。海外通販で買われる頻度が高いものばかりが並んでいるのが厄介なところです。アパレル系の個人輸入で「1万円以下なのに請求が来た」という話の大半はこれが原因です。

例外もあります。「関税を免税しない物品」に指定されていても、個人的使用に供されると認められる贈与品で課税価格が1万円以下なら免税になるものがあります。自分で買った商品には使えない救済です。

AliExpressで買う物に置きかえると、課税価格が1万円を大きく下回る4,000円のニットのセーターでも、税300円と郵便の取扱手数料200円がかかります。プラスチック製品やハンドバッグとの比べ方はAliExpressで買うと関税・消費税はかかる?で計算しています。

免税から外れる品目とは逆に、化粧品は関税が無税(協定税率)なので、課税価格が1万円を超えてもかかるのは消費税だけです。韓国通販で25,000円の化粧品を買ったときに税合計が1,400円ほどになる計算は、韓国通販で買うと関税・消費税はかかる?で確かめられます。

20万円以下なら簡易税率、超えると一般税率

個人輸入の課税ルール全体の流れは入門記事にまとめています。

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免税ラインを超えた場合に使われるのが簡易税率です。課税価格の合計額が20万円以下の一般輸入貨物と国際郵便物に適用され、数千ある品目分類を7区分に大別しています(関税定率法第3条の3)。2026年9月時点では、酒類が3種類の従量税、毛皮製品や氷菓が20%、コーヒーや茶が15%、ニット以外の衣類が10%、プラスチック製品やガラス製品や家具が3%、ゴム・紙・陶磁製品・鉄鋼製品・すず製品が無税、それ以外が5%という構成です。区分ごとの詳しい内訳は別記事にまとめています。

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課税価格の合計額が20万円を超えると、この表は使えません。実行関税率表から品目ごとの税率を引くことになり、国際郵便で届いた荷物であっても保税地域を管轄する税関への輸入申告が必要になります。日本郵便や通関業者に依頼すれば代行手数料もかかります。

「30万円」という数字は別の話

個人輸入の解説で30万円という数字を見かけることがありますが、これは簡易税率の上限ではありません。国際郵便物の受け取り方の基準です。

税関の説明では、税金の合計額が1万円以下の場合、あるいは1万円を超えて30万円以下で名宛人が配達を希望する場合には、課税通知書と納付書とともに郵便物が直接配達され、その場で税金と取扱手数料を払えば受け取れます。30万円は税額の基準、20万円は課税価格の基準です。桁が近いので取り違えやすく、30万円を簡易税率の上限として説明している例も見かけます。

簡易税率にも除外品目がある

課税価格が20万円以下でも、簡易税率ではなく一般税率が適用される品目があります。税関が挙げているのは、穀物とその調製品、ミルク・クリーム類、ハムや牛肉缶詰などの食肉調製品、たばこ、精製塩、旅行用具やハンドバッグなどの革製品、ニット製衣類、履物、身辺用模造細貨類(卑金属製のものを除く)です。1万円以下の免税から外れている品目と顔ぶれがほぼ重なります。

仕入れる側から見ると、免税ラインより手数料のほうが効く

海外から仕入れて国内で売る立場で計算していると、免税ラインより先に効いてくるのは荷物1件あたりの固定費です。国際郵便で課税されると、税金とは別に日本郵便の通関料が郵便物1個につき200円かかります。国際宅配便なら立替手数料が乗ります。DHLでは、DHLのアカウントを持たない荷受人の場合、運送状1枚あたり2,200円か関税・諸税の2%の高い方です。FedExとUPSの額は公式サイトで確認できませんでした。関税率が無税の区分6でも、消費税と手数料はかかります。免税に収めようと注文を細かく割ると、この固定費が回数分だけ積み上がります。

仕入れ先の建て付けでも差が出ます。イタリアのアウトレット通販YOOXの日本向け販売はDDP、つまり関税・消費税込みの価格なので表示価格がそのまま原価になります。一方BUYMAの海外発送商品は関税が購入者負担で、2026年9月4日にセール一覧を実測して原価を計算したときは、バッグ類で5,000〜6,000円を上乗せしないと本当の原価にならないという結果でした。表示価格が同じでも原価が5,000円以上違うということです。

中国から仕入れる場合は送料も課税価格に入るので、商品代だけで1万円を下回っていても免税にならないことがあります。サンプル注文の例と、免税にならない品目の計算は中国から仕入れるときの関税と消費税で取り上げています。

自分の買い物がどちらの側に落ちるかは、関税・消費税計算ツールに商品価格と送料を入れれば免税判定まで通して確認できます。

2028年4月に免税ラインが実質的に下がる

この免税制度に関わる改正が二つ決まっています。どちらも施行は2028年4月1日です。

  • 個人使用貨物の0.6掛け特例を廃止(令和8年法律第5号、施行は令和10年4月1日)
  • 国境を越えた通信販売のうち1万円以下の少額輸入貨物の販売を消費税の課税対象とする(令和8年度税制改正の大綱、令和10年4月1日以後に適用)

0.6掛けがなくなると免税ラインは海外小売価格ベースで16,666円から1万円へ下がり、さらに1万円以下にも消費税がかかるため、実質的に無税で買える範囲は消えます。ただし2026年9月時点ではどちらも未施行です。「2026年に廃止」と書いている記事もありますが、改正法の附則上は2028年4月1日です。

よくある質問

1万円ちょうどは免税ですか

免税です。条文は「課税価格の合計額が1万円以下」なので、1万円を含みます。10,001円になると課税対象です。

2回に分けて注文すれば両方とも免税になりますか

なりません。同一差出人から同一名宛人に同一時期に分散して郵送されたものは、分割されたすべての郵便物の課税価格を合計して判定されます。重量制限で分割された荷物も同じ扱いです。

酒やたばこも1万円以下なら免税ですか

関税と消費税は免税になりますが、酒税やたばこ税・たばこ特別消費税は免除されません。これらは課税価格にかかわらず課されます。

簡易税率と一般税率はどちらが得ですか

品目によります。簡易税率は7区分の大くくりなので、一般税率のほうが低いこともあります。輸入者が全部について一般税率を希望すれば一般税率が適用されるため、金額が大きいときは両方で試算する価値があります。ただし部分的な適用はできず、荷物単位でどちらかに揃える必要があります。

まとめ

2026年9月時点の少額輸入貨物、押さえる点

  • 免税ラインは課税価格1万円以下。個人使用なら海外小売価格でおよそ16,666円まで
  • 革製品、ニット衣類、履物、パンスト・タイツなどは1万円以下でも免税にならない
  • 簡易税率は課税価格20万円以下が対象。超えると一般税率と輸入申告になる
  • 30万円は簡易税率の上限ではなく、郵便物をその場で受け取れる税額の基準
  • 0.6掛けの廃止と1万円以下への消費税課税はどちらも2028年4月1日施行。2026年9月時点では未施行

出典 税関「少額輸入貨物の簡易税率」、税関カスタムスアンサー1006・1001・6101、関税定率法第14条第18号および同施行令第16条の3、財務省「関税定率法等の一部を改正する法律案について」(令和8年2月)、財務省「令和8年度税制改正の大綱」。いずれも2026年9月時点で確認。DHL Express「オプションサービス」の立替納税手数料は2026年10月25日に確認。

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