米国宛ての荷物は関税を事前に払う必要がありますが、その払い方は選んだ配送手段によって二系統に分かれます。日本郵便(EMS・国際エアパケット)ならZonos Prepayという専用アプリ、eBayのCPaSS(SpeedPAK・DHL・FedEx)ならCPaSSの画面内。同じ「関税の前払い」でも、決済の回数も、ラベルの出どころも、金額が確定するタイミングも違います。この記事では両者の流れを分解して、どこがどう違うのかを表とステップで整理します。
結論:二段階か一段階かという違い
違いを一言でまとめると、Zonos Prepayは「関税を先に払ってから送料を払う」二段階方式、CPaSSは「送料と関税を一度に払う」一段階方式です。
- Zonos Prepay(郵便ルート):専用アプリで関税だけを先にカード決済し、そのアプリの中でラベルも作る。郵便料金は郵便局の窓口で別に支払う。
- CPaSS(クーリエルート):CPaSS上でラベルを作る際に、推定配送料と推定関税額が合算されて一度の決済で終わる。
この構造の違いは、必要な操作回数だけでなく、金額が事前に確定するのかどうかにも影響します。
Zonos Prepay(二段階方式)の流れ
日本郵便で送る場合の実際の手順です。専用ダッシュボードにサインインしてから発送までを順に並べると次のようになります。
- ダッシュボードにサインインする
- 発送種別を選ぶ(EMS・国際小包・国際エアパケット・小形包装物・印刷物(書留)・印刷物・書状(書留)・書状の8種類から選択)
- 内容品情報を確認する。品名・価格・原産国を入力
- 関税額が算出されるので、クレジットカードで決済する
- 同じ画面から配送ラベル作成へ進む(差出人→受取人→発送種別→荷物情報→品目内容確認→最終確認の6ステップ)
- ラベルPDFを印刷して荷物に貼る
- 指定郵便局に持ち込み、郵便料金を窓口で支払う
ステップ3では、内容品の価格と生産国が自動で仮入力されます。この仮の値は必ず手で確認してください。実際に、生産国が誤って中国になっていた(本当は日本製)ケースや、市場推定価格4,424円に対して実売価格が7,798円だったケースがありました。自動入力のまま進めると、誤った申告になります。
また「危険物に該当しない理由」のドロップダウンは必須項目で、毎回選ばないと先へ進めません。
CPaSS(一段階方式)の流れ
eBay Japanが提供する発送管理ツールCPaSSを使う場合です。こちらは別アプリを立ち上げる必要がありません。
- CPaSSにログインする
- 対象の注文で「配送を割り当て」を選ぶ
- パッケージのサイズ(長さ・幅・高さ)と重量を入力する
- 申告価格・HTSコード・原産国を入力すると関税率が自動計算される
- 各配送業者の推定配送料と推定関税額(Estimated U.S. Duty & Tax)が一覧表示される
- 選択して「追跡番号を取得」すると、ラベル発行と課金がまとめて行われる
CPaSSで選べるのは、eBay SpeedPAK(DHL経由)、SpeedPAK(FedEx International Connect Plus経由)、SpeedPAK(FedEx International Priority経由)、SpeedPAK Economyの4つです。日本郵便のEMSや国際エアパケットはCPaSSの選択肢に含まれていません。つまり配送手段を決めた時点で、関税の払い方も自動的に決まります。
違いを項目ごとに整理する
両者の差を一覧にすると次のとおりです(2026年9月時点)。
| 比較項目 | Zonos Prepay(日本郵便) | CPaSS(DHL・FedEx) |
|---|---|---|
| 方式 | 二段階(関税→送料) | 一段階(送料+関税を一括) |
| 使うツール | 専用ダッシュボード | CPaSSの画面のみ |
| 関税の決済手段 | クレジットカード | CPaSSの決済 |
| 送料の決済 | 郵便局の窓口で現金等 | 関税と同時 |
| ラベルの発行元 | Zonosアプリ内 | CPaSS |
| 使う追跡番号 | Zonosで発行されたもの | CPaSSで発行されたもの |
| 関税額の確定 | 発送前に確定 | 推定額を先に決済し、実査定との差は後日過不足調整 |
| 選べる配送種別 | 郵便8種類 | クーリエ4社(プラン) |
| 荷物の出し方 | 指定郵便局へ持ち込み | 集荷を呼べる |
| アプリ利用料 | 無料 | なし(送料に内包) |
とくに注意すべき3つの違い
1 関税額が「確定」か「推定」か
Zonosは発送前に金額が確定します。一方CPaSSは、画面に出るのが「推定関税額」で、実際の税関査定と差が出た場合は後日返金または追徴という形で調整されます。帳簿をつける立場からすると、Zonosのほうが後から金額が動かないぶん扱いやすいという違いがあります。
なお2026年1月22日以降、CPaSSでFedExを使う場合は、関税を事前払いにするか確定後払いにするかを選べるようになりました。
2 追跡番号が二重に発生することがある
郵便ルートで起きやすい事故です。国際郵便マイページサービスで先に送り状を作ると、そこでも追跡番号が発行されます。しかし米国宛ての販売品で実際に使うのは、Zonos側で発行された番号です。マイページで作った番号は使いません。マイページ側はエラーを出さず最後まで登録できてしまうため、窓口で初めて指摘されることになります。
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3 荷物をどう出すか
CPaSSは集荷を呼べますが、郵便ルートで作ったZonosのラベルは自宅集荷が使えず、指定郵便局への持ち込みが前提です。1件あたりにかかる時間が大きく変わるため、送料の数百円差より効いてくることがあります。
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金額で見るとどちらが得か
仕組みが違っても、最終的に払う総額で比べれば判断できます。同じ荷物(15×10×8cm、250g想定)での見積もり実例が次のとおりです。
| ルート | 送料 | 関税の扱い |
|---|---|---|
| EMS(米国第4地帯) | 500gまで3,900円 | Zonosで別途(実測では552円〜3,109円) |
| SpeedPAK Economy | 4,294円 | 送料と一括 |
| FedEx International Connect Plus | 5,480円〜 | 送料と一括 |
| FedEx International Priority | 5,752円〜 | 送料と一括 |
| DHL | 5,961円 | 送料と一括 |
送料だけを比べればEMSが最安ですが、関税は両ルートとも同じように発生します。関税の有無で優劣がつくわけではなく、差がつくのは送料と手間の部分という整理になります。実際の荷物の重量とサイズを入れて総額で確認するのが確実です。
よくある質問
Q. どちらのルートでも関税額は同じになりますか
関税率は品目のHSコード(HTSコード)と申告価格で決まるため、原則として同じ品目・同じ価格なら大きくは変わりません。ただしCPaSS側は推定額での決済で、後から過不足調整が入る点が異なります。
Q. Zonos Prepayの利用料はかかりますか
アプリの利用自体は無料です。かかるのは関税と手数料(通関手数料と為替コストの合計)だけで、手数料は品目ごとではなく1パッケージごとに発生します。
Q. 郵便で送るのにCPaSSで関税を払うことはできますか
できません。CPaSSの選択肢には日本郵便のサービスが含まれていないため、郵便で送るなら関税はZonos Prepayで払う流れになります。配送手段と関税の支払い方法はセットです。
Q. 関税が0円の品目でも手続きは必要ですか
必要です。実測ではトレーディングカード(HSコード4911.91.4040)の関税率が0%でしたが、手数料552円はかかり、申告とラベル作成の手順も通常どおり必要でした。
Q. ラベルが正しく作れているかはどこで分かりますか
Zonosで発行したラベルPDFの左上に「DDP-(申告ID)」の表示が出ていれば、関税前払いが反映されています。手書きでの追記は必要ありません。
まとめ
この記事の要点
- Zonos Prepayは二段階方式。関税を先にカードで払い、同じアプリでラベルを作り、郵便料金は窓口で別途支払う
- CPaSSは一段階方式。ラベル作成時に推定配送料と推定関税額をまとめて1回で決済する
- CPaSSに日本郵便の選択肢はないため、配送手段を決めた時点で関税の払い方も決まる
- Zonosは金額が事前に確定、CPaSSは推定額で決済して後日過不足調整という違いがある
- 郵便ルートでは、国際郵便マイページで作った追跡番号ではなくZonos側の番号を使う
- 集荷が呼べるのはCPaSS側。郵便ルートは指定郵便局への持ち込みが前提
どちらのルートを選ぶかは、仕組みの好みではなく総額と手間で決めるのが合理的です。発送コスト比較ツールで、実際の重量とサイズを入れて総額を比べるところから始めてください。
出典:日本郵便が公開しているZonos Prepay操作マニュアル(2026年4月公開)、eBay JapanのCPaSS画面上の表示。手順と画面の挙動は、運営者が2026年9月に実際に操作した記録に基づきます。いずれも2026年9月時点の情報です。