関税率は「商品の種類」でざっくり決まるわけではなく、輸出入されるすべての物品に割り振られた分類番号、HSコードによって決まります。同じ「アクセサリー」でも素材や用途でコードが分かれ、税率も変わります。この記事では、eBay輸出で米国宛てに発送するときに実際にどのコードを使い、どんな税率が適用されたのかを、運営者が2026年9月に通した3件の申告記録をもとに説明します。番号の仕組みを知っておくと、申告アプリが自動で入れる値が妥当かどうかを自分で判断できます。
HSコードは世界共通の6桁の商品番号
HSコードのHSは Harmonized System(商品の名称及び分類についての統一システム)の略です。世界税関機構(WCO)が定め、条約を締結している国はこの分類に従って関税率表を作ります。重要なのは国際的に共通なのは最初の6桁までだという点です。7桁目から先は各国が自国の事情に合わせて細分化しています。米国ではこの細分化された番号を HTSコード(Harmonized Tariff Schedule)と呼び、10桁になります。
6桁の中身
| 桁 | 呼び方 | 意味 |
|---|---|---|
| 1〜2桁目 | 類(Chapter) | 大分類。全部で97類ある |
| 3〜4桁目 | 項(Heading) | 類の中の中分類 |
| 5〜6桁目 | 号(Subheading) | 項の中の小分類。ここまでが国際共通 |
| 7桁目以降 | 国内細分 | 国ごとに異なる。米国は10桁、日本は9桁 |
9608.10.0000 なら、96類(雑品)の9608項(ボールペン、フェルトペン等)の9608.10号(ボールペン)と読みます。
HSコードとHTSコードは何が違うのか
実務での違いは次の2点だけです。
- 桁数。HSは6桁、米国のHTSは10桁
- 税率が書いてあるかどうか。税率は各国の関税率表に書かれているので、6桁のHSコードだけでは米国の税率は分からない
日本から米国へ輸出する場合、申告に使うのは米国側のHTSコードです。Zonos Prepayのような関税事前支払いアプリは商品名から候補を提示しますが、どれを選ぶかは申告者の責任です。
日本へ輸入する側(個人輸入)の場合は、日本の実行関税率表に基づく税率が適用されます。少額の輸入貨物には簡易税率という別の枠組みもあるため、輸出側とは計算の仕組みが違います。海外通販の関税を調べたい場合は関税・消費税計算ツールのほうを使ってください。
実際に申告したコードと適用された税率
2026年9月に米国宛てで実際に申告した3件の記録です。
| 品目 | コード | 申告価格 | 関税率 | 関税額 |
|---|---|---|---|---|
| トレーディングカード | 4911.91.4040 | 7,798円 | 0% | 0円 |
| ボールペン | 9608.10.0000 | 3,611円 | 12.5% | 451円 |
| 腕時計(G-SHOCK) | 9102類 | 18,527円 | 約16.8%相当 | 3,109円(手数料込み) |
トレーディングカードが0%なのは、4911項が「印刷物」の区分だからです。紙に印刷されたものとして扱われ、印刷物には無税の区分が多くあります。「コレクター向けの高額品だから税率も高いはず」という直感は当たりません。一方でボールペンは12.5%。同じ筆記具でも万年筆とボールペンは項が分かれるので、税率は別々に確認します。
腕時計の16.8%は、関税と通関手数料の合計を申告価格で割った値です。内訳が記録に残っていないため、関税単独の税率はこれより低い可能性があります。9102項の米国側の税率は「1個あたり何ドル+ケース部分に何パーセント」という従量税と従価税の組み合わせになっている区分があり、単純なパーセント表示になりません。16.8%はこの1件の実績値で、他の時計に当てはめられる数字ではありません。
品目別の実測値をもっと詳しく見たい場合は、別記事にまとめてあります。
あわせて読みたい 腕時計・アクセサリー・トレーディングカード 品目別の関税率の実測目安まとめ
コードは誰が決めるのか
申告する人が決めます。税関が後から違うと判断すれば訂正されますが、最初に番号を入れるのは出荷側です。ここで注意が必要なのが申告アプリの自動入力です。Zonos PrepayのWeb版では、STEP1の「内容品情報を確認」画面で市場価格から推定した仮の価格と生産国が自動で入力されます。2026年9月9日にポケモンカードを申告したとき、生産国が誤って「中国」になっていました。実際は日本製です。価格も市場推定の4,424円が入っていて、実売価格の7,798円とは大きく違いました。
自動入力された値は必ず自分で確認して修正してください。生産国は原産地規則に関わり、価格は課税価格そのものになります。どちらも税額に直結します。
なおZonosでは、危険物に該当しない理由をドロップダウンから毎回選ぶ必要があります(必須項目)。ここを飛ばすと先に進めません。
コードを間違えるとどうなるか
すぐにエラーにはなりません。申告は通り、支払いも完了します。問題が出るのはそのあとです。
- 税率が違う。実際より低いコードを使えば追徴、高いコードを使えば払いすぎになる
- 規制品目に該当していた。品目によっては輸入許可や証明書が必要な区分がある
- 損益計算が狂う。次回以降、同じ品目の関税を実績ベースで見積もるとき、誤った税率を基準にしてしまう
3番目は地味ですが影響が長く続きます。1件の申告ミスが、その後の値付け全体の前提になってしまうためです。
コードの調べ方
2026年9月時点で、次の2つを見れば足ります。
| 調べたいこと | 参照先 |
|---|---|
| 米国へ輸出するときの税率 | 米国国際貿易委員会(USITC)のHTS検索(hts.usitc.gov) |
| 日本へ輸入するときの税率 | 税関の実行関税率表(www.customs.go.jp) |
検索のコツは、商品名ではなく素材と用途で探すことです。「ネックレス」より「貴金属製の身辺用細貨類」のような分類語のほうが早く当たります。HSコードは商習慣上の商品名ではなく、材質や加工の度合いを基準に組まれているためです。過去に輸出した記録を残しておき、そのコードを起点に確認するのが実務的です。
よくある質問
HSコードは自分で決めていいのですか
申告者が決めます。ただし恣意的に低い税率のコードを選ぶことは認められません。税関が分類を見直して追徴することがあります。判断に迷う品目は、税関の事前教示制度で確認する方法があります。
同じ商品なら世界中どこでも同じ税率ですか
いいえ。6桁までの分類が共通なだけで、税率は国ごとに違います。さらに自由貿易協定(EPA・FTA)の対象になっていれば、原産地証明を付けることで協定税率が使える場合があります。
コードが分からないときはどうすればいいですか
申告アプリが提示する候補から選びますが、候補が明らかに品目と合っていないこともあります。実例では、ボールペンに対応するカテゴリが概算ツールに存在せず、腕時計で代用すると税率が大きくずれました。近いカテゴリで代用するときは金額を「概算」として扱い、実額との差を記録してください。
関税が0%なら費用はかからないのですか
いいえ。トレーディングカードの実例では関税は0円でしたが、通関手数料と為替コストとして552円がかかりました。この手数料は申告価格に比例せず、1パッケージあたりほぼ定額で発生します。関税率0%の品目でも費用がゼロにはなりません。
米国の制度は最近変わりましたか
大きく変わりました。2025年8月に米国のデミニミス(少額免税)制度が廃止され、2026年4月14日に条件付きで郵便物の引受が再開。さらに2025年10月17日以降、米国宛て・2,500ドル未満の取引は関税元払い(DDP)が義務化されています。「100ドル以下なら免除」という理解は通用しません。
まとめ
この記事の要点
- HSコードは6桁までが国際共通。米国のHTSコードは10桁で、税率は各国の関税率表で決まる
- コードは類(2桁)→項(4桁)→号(6桁)→国内細分の入れ子構造になっている
- 実測では トレカ4911.91.4040が0%、ボールペン9608.10.0000が12.5%、腕時計9102項が合計16.8%相当
- 申告アプリの自動入力(価格・生産国)は誤っていることがあるので必ず手で確認する
- 検索は商品名ではなく素材と用途で探すと当たりやすい
- 関税率0%でも通関手数料(実測552円)は別途かかる
制度と税率は2026年9月時点のものです。米国の関税制度はこの1年で複数回変わっているため、実際に発送する前に最新の情報を確認してください。
自分の荷物の税額を先に知りたい場合は、発送コスト比較ツールの関税あり版で、発送手段ごとの関税込みの総額を試算できます。