同じ商品を同じ国へ送るのに、箱を一回り大きくしただけで送料が跳ね上がることがあります。原因は容積重量という考え方です。国際宅配便では、はかりに載せた実際の重さではなく、箱の大きさから計算した仮の重さで料金が決まることがあります。この記事では容積重量の計算方法と、日本郵便と国際宅配便で扱いがどう違うのかを、運営者が実際に見積もりを取った荷物のサイズと金額を使って説明します。
容積重量とは箱の大きさを重さに換算した値
容積重量(容積換算重量、寸法重量とも呼びます)は、荷物の外寸から計算する仮の重量です。国際宅配便の料金は実重量と容積重量を比べ、大きいほうの数字で決まります。計算式は単純です。
容積重量(kg) = 縦(cm) × 横(cm) × 高さ(cm) ÷ 5,000
2026年9月時点で、国際宅配便の航空輸送では5,000という係数が一般的です。ただし係数は事業者やサービスによって異なることがあり、6,000を使うケースもあるため、利用する事業者の公表値を必ず確認してください。
なぜこんな仕組みがあるのか
航空機に積める荷物は、重さの上限より先に空間の上限に達するからです。軽くてかさばる荷物ばかり積むと、重量に余裕があっても貨物室が埋まります。実重量だけで課金すると場所を占有する荷物ほど運賃が安くなり、採算が合いません。そこで「この大きさの箱なら最低これくらいの重さぶんは頂く」という下限を設けたのが容積重量です。軽くて大きい荷物ほど、実重量との差が開きます。
実際に計算してみる
実例 15×10×8cm・250gの荷物
2026年9月に米国宛ての発送方法を比較したときの荷物です。腕時計1個を梱包した想定で、外寸15×10×8cm、重量250gをCPaSS(eBayの発送管理ツール)に入力して見積もりを取りました。容積重量を計算します。
- 15 × 10 × 8 = 1,200 立方センチメートル
- 1,200 ÷ 5,000 = 0.24kg = 240g
実重量250gに対して容積重量240g。わずかに実重量のほうが大きいので、この荷物は実重量で課金される帯にいます。実際に表示された見積もりは次のとおりでした。
| 発送手段 | 料金 | 備考 |
|---|---|---|
| 日本郵便 EMS | 3,900円 | 第4地帯・500gまで一律 |
| eBay SpeedPAK エコノミー | 4,294円 | CPaSS内で最安 |
| FedEx International Connect Plus | 5,480円〜 | CPaSS経由 |
| FedEx International Priority | 5,752円〜 | CPaSS経由 |
| DHL | 5,961円 | CPaSS経由 |
箱を一回り大きくするとどうなるか
中身は250gのまま、箱だけを20×15×10cmに変えたとします。
- 20 × 15 × 10 = 3,000 立方センチメートル
- 3,000 ÷ 5,000 = 0.6kg = 600g
実重量250gに対して容積重量600g。国際宅配便では大きいほうを採用するので、実際の2.4倍の重さとして課金されます。中身は1グラムも増えていません。
緩衝材を厚く入れて箱を大きくすると、輸送中の破損は防げても送料は確実に上がります。梱包の強度と箱の外寸は、分けて考える必要があります。
日本郵便と国際宅配便で扱いが違う
ここが実務でいちばん効く違いです。
| 項目 | 日本郵便(EMS・国際エアパケット) | 国際宅配便(DHL・FedEx) |
|---|---|---|
| 料金の基準 | 実重量(梱包後の総重量) | 実重量と容積重量の大きいほう |
| サイズの扱い | 上限の制限のみ | 料金計算に直接使う |
| 料金の刻み | 重量帯(500g、600g、1kgなど) | 重量に応じて細かく変動 |
日本郵便は実重量で決まる
国際郵便マイページサービスでは、発送情報登録のステップで「総重量(梱包後)」を入力すると郵便料金が自動計算されます。容積重量を入力する欄はありません。
米国宛て(第4地帯)のEMSは500gまで一律3,900円、600gで4,180円、1kgで5,300円です(2026年9月時点)。つまり500gを1グラムでも超えると次の料金帯に上がりますが、箱が大きいこと自体では料金は変わりません。
ただしサイズの上限はあります。国際エアパケットは2kg以下かつ90cm以内(三辺合計)という条件があり、これを超えると使えません。料金には影響しないが、使えるサービスの選択肢が減るという形でサイズが効いてきます。
EMSにも大きさの上限があり、多くの国で長さ1.5m以内、長さ+横周3m以内と決められています。細長い物は長さが1.5mに収まっていても、太さによっては長さ+横周が3mを超えることがあります。郵便に収まらない荷物を航空便で送る場合は、実重量と容積重量の重い方で計算する料金表もあります。EMSの上限と大型荷物の送り方で整理しています。
国際宅配便はサイズと重量の両方を入力する
CPaSSで配送を割り当てる画面では、パッケージサイズ(長さ・幅・高さ、単位cm)と重量(梱包+正味、単位kg)の両方を入力します。両方を入れて初めて各社の推定配送料が一覧表示されます。なお入力欄はスピンボタン形式のカスタム部品で、入力しても料金が変わらないことがあります。その場合は一度モーダルを閉じて開き直すと反映されました。
実務でやるべき3つのこと
1 箱は中身に合わせて最小にする
手元の空き箱を使い回すと無駄に大きくなりがちです。国際宅配便では箱の外寸がそのまま料金に効きます。
2 重量帯の境目を意識する
日本郵便の料金は重量帯で階段状に上がります。米国宛てEMSなら500gが最初の段差で、490gと510gでは280円の差が出ます。梱包材を軽いものに変えるだけで段差の手前に収まることがあります。実測では金属ケースとメタルブレスの腕時計が梱包込みで300gから400gでした。この帯なら500g以内に収まります。
3 品目によっては梱包材を選べない
すべての商品を「薄く小さく」できるわけではありません。真珠は素材を傷めるため乾燥剤とエアキャップ(プチプチ)を避け、布袋に入れます。送料の都合で梱包の品質を下げると、破損や品質劣化でクレームになります。容積重量の節約は商品の安全が確保できる範囲でやることです。
自分の荷物のサイズと重量でいくらになるかは、発送コスト比較ツールに外寸と重量を入れると、EMS・国際エアパケット・DHL・FedExの総額を横並びで確認できます。
よくある質問
容積重量は誰が測るのですか
集荷または引受の時点で事業者が採寸します。申告した寸法と違えば事業者側の実測値で再計算されるので、見積もり時に小さめの数字を入れても差額を請求されるだけです。
三辺の長さはどう測ればいいですか
梱包後の外寸で測ります。箱から少しはみ出したテープや、持ち手の出っ張りも含めた最大寸法が基準です。
日本郵便なら箱が大きくても大丈夫ですか
料金には影響しませんが、サービスごとのサイズ上限があります。国際エアパケットは2kg以下・90cm以内という条件があり、これを超えるとEMSや国際小包に切り替える必要があります。料金が変わらないからといって、必要以上に大きい箱を使う理由にはなりません。
係数の5,000はどこから来た数字ですか
航空貨物の慣行として定着している換算係数で、1立方メートルあたり200kgに相当します。2026年9月時点では国際宅配便の航空便でこの係数が広く使われていますが、事業者やサービスによって6,000を使う場合もあります。利用する事業者の公表値を確認してください。
容積重量が実重量より小さければ無視していいですか
はい。両者を比べて大きいほうが採用されるので、実重量のほうが大きければ容積重量は料金に影響しません。上の実例(15×10×8cm・250g)がまさにその状態でした。ただし差が10gしかなかったので、箱をあと1cm大きくしていたら逆転していました。
eBay輸出ではどちらを使うべきですか
同じ重量帯なら日本郵便のほうが安い傾向があります。実例では250gでEMS 3,900円に対し、CPaSS内の最安がSpeedPAKエコノミー4,294円でした。ただし米国宛ては関税を別アプリで先に払う手間があるため、手間まで含めた比較が必要です。詳しくは損益計算の記事で扱っています。
あわせて読みたい eBay輸出の手取りはいくら残る?関税・送料・手数料込みの損益計算
まとめ
この記事の要点
- 容積重量は 縦×横×高さ(cm)÷5,000 で計算する仮の重量(2026年9月時点の一般的な係数)
- 国際宅配便は実重量と容積重量の大きいほうで課金する
- 日本郵便(EMS・国際エアパケット)は実重量ベース。ただしサイズ上限はある
- 実例15×10×8cm・250gでは容積重量240gで、わずかに実重量が採用される帯だった
- 同じ中身でも箱を20×15×10cmにすると容積重量600gになり、2.4倍の重さで課金される
- 日本郵便では重量帯の境目(米国宛て500gで3,900円)を意識すると効果が大きい
料金は2026年9月時点で確認した実額です。郵便料金も宅配便の運賃も改定されるため、発送前に最新の料金表で確認してください。