個人輸入の関税・消費税

革製品・ニット衣類は関税率が高い|品目別の簡易税率一覧

個人輸入で税金が重くなる品目には共通点があります。革製品とニット衣類、そして履物です。この3つは少額輸入貨物の簡易税率の対象から外され、革のバッグや手袋、ニット衣類、履物は課税価格1万円以下の免税からも外されています。二重に除外されるため、同じ値段のシャツでも編み方が違うだけで支払額が0円と1,900円に分かれます。この記事では2026年9月時点の簡易税率7区分と除外品目を一覧にしたうえで、除外された品目に実際どの税率が当たるのかを実行関税率表から引き、金額まで計算して比べます。

結論。税率が高いのではなく、安い表から外されている

「革製品は関税が高い」とよく言われますが、正確には税率そのものが突出して高いわけではありません。簡単で安い簡易税率の表から外され、一般の実行関税率表で計算されるから高くなるというのが実態です。加えて革のバッグ・手袋、ニット衣類、履物は1万円以下の免税も効かないので、少額でも課税されます。この二段構えが効いています。

少額輸入貨物の簡易税率7区分(2026年9月時点)

課税価格の合計額が20万円以下の一般輸入貨物と国際郵便物には、関税定率法第3条の3に基づく簡易税率が適用されます。数千ある品目分類を7区分に大別したものです。

区分 具体的な品目例 関税率
1 酒類 (1)ワイン (2)焼酎等の蒸留酒 (3)清酒、りんご酒 等 (1)70円/L (2)20円/L (3)30円/L
2 トマトソース、氷菓、なめした毛皮(ドロップスキン)、毛皮製品 等 20%
3 コーヒー、茶(紅茶を除く)、なめした毛皮(ドロップスキンを除く)等 15%
4 衣類および衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く)等 10%
5 プラスチック製品、ガラス製品、卑金属(銅、アルミニウム等)製品、家具 等 3%
6 ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品、すず製品 無税
7 その他のもの 5%

区分4の「メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く」という但し書きが重要です。メリヤス編みとクロセ編みはいわゆるニットのことで、ニット製の衣類はこの10%の区分に入れてもらえません。織物製のシャツやコートは区分4の10%、ニットのTシャツやセーターは対象外という切り分けです。

簡易税率が使えない品目の一覧

税関とMIPROの資料で示されている、簡易税率によらず一般の関税率が適用される品目は次のとおりです。

  1. 関税が無税または免税になるもの
  2. 犯罪に係る貨物
  3. 我が国の産業への影響を考慮し、簡易税率を適用することが適当でないとされている物品

3つ目の具体的な品目は22種類あります。

分野 品目
農水産・食品 ミルク、クリーム等/豆類/穀物/穀粉等/落花生およびこんにゃく芋/豚肉・牛肉の調製品/ココア調製品/穀物・ミルクの調製品/海草調製品/調製食料品
嗜好品・鉱工業 たばこ/精製塩/石油/メントール/繭・生糸
革・繊維・装身具 原皮・革/革製品/ニット製衣類/履物/身辺用模造細貨類(卑金属製以外)/革製の携帯用時計バンド/革製の腰掛けの部分品

海外通販で買われやすいものが集まっているのは最後の行です。バッグ、財布、ニットウェア、靴、アクセサリーがまとめて入っています。ただし、次の1万円以下の免税から外れる品目は、この行よりも狭くなります。

1万円以下の免税からも外されている

課税価格の合計額が1万円以下の物品は原則として関税と消費税が免除されますが、税関は「関税を免税しない物品」として革製のカバン、ハンドバッグ、手袋等、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴および本底が革製の履物類等を挙げています。根拠は関税定率法施行令第16条の3です。

つまり革のハンドバッグ・手袋とニット衣類は、安い簡易税率も使えず、少額免税も使えません。金額の大小にかかわらず一般税率で課税されます。施行令第16条の3で除かれている革のバッグ類は、外面が革のトランク・スーツケース類(4202.11)とハンドバッグ(4202.21)です。革の財布(4202.31)は入っていないので、課税価格1万円以下なら免税で、1万円を超えると簡易税率ではなく一般税率で計算します(2026年10月21日に施行令の原文で確認)。例外として、個人的使用に供されると認められる贈与品で課税価格が1万円以下のものは免税になる場合がありますが、自分で買った商品には使えません。

この扱いは韓国通販で買うニットにも当てはまり、8,000円のセーター(課税価格4,800円)でも税合計で700円ほどかかります。化粧品やニット以外の服と比べた目安は韓国通販で買うと関税・消費税はかかる?に載せています。

除外された品目の一般税率はいくらか

実行関税率表(2026年8月8日版)から、個人輸入で問い合わせの多い品目を引いたものです。基本税率とWTO協定税率が併記されている場合、通常は低いほうのWTO協定税率が適用されます。経済連携協定の適用を受けられる場合は無税になることもあります。

品目 HSコード 基本税率 WTO協定税率
革製ハンドバッグ(一般のもの) 4202.21 10% 8%
革製ハンドバッグ(貴金属・貴石・真珠等を使用し、1個の課税価格が6,000円超) 4202.21 17.5% 14%
革製の財布(一般のもの) 4202.31 12.5% 10%
革製の財布(貴金属等を使用し1個6,000円超) 4202.31 20% 16%
ニットのTシャツ(綿製、なせんしたもの) 6109.10 10.9%
ニットのセーター・プルオーバー(綿製・人造繊維製) 6110.20/6110.30 10.9%
靴下(綿製) 6115.95 7.4%
革靴(本底が革製、共通の限度数量以内) 64.03 21.6〜24%
革靴(共通の限度数量を超えるもの) 64.03 30%または4,300円/足のうち高いほう

履物には関税割当に似た「共通の限度数量」という仕組みがあり、年度ごとの枠に収まるかどうかで税率が変わります。枠を超えた分は30%または4,300円/足のうち高いほうという重い税率になります。個人の荷物にどちらが当たるかは通関時の判断になるため、ここでは目安として読んでください。金額の大きい革靴を輸入するなら、事前教示制度で税関に品目分類と税率を確認しておくのが確実です。

同じ値段でも支払額はここまで違う

2026年9月20日から26日に適用される税関長公示レート1ドル154.32円で、個人使用として国際郵便で受け取った場合を計算します。端数処理は関税・消費税とも法定の手順どおりに入れています。

100ドルのシャツ、織物製とニットの比較

織物製シャツ(区分4) ニットのセーター(除外品目)
円換算 100ドル×154.32円=15,432円
課税価格 15,432×0.6=9,259.2→9,259円
1万円以下の免税 適用される 適用されない
関税 0円 9,000×10.9%=981→900円
消費税 0円 (9,259+900)=10,159→10,000×7.8%=780→700円
地方消費税 0円 700×22÷78=197.4→100円
通関料 発生しない 200円
支払額 0円 1,900円

同じ100ドルの上着で、編み方が違うだけで0円と1,900円に分かれます。商品ページに「knit」「jersey」と書かれているかどうかで結果が変わるということです。

300ドルの革靴と、300ドルの織物製衣類

織物製衣類(区分4、10%) 革靴(21.6%で試算)
課税価格 300ドル×154.32×0.6=27,777円
関税 27,000×10%=2,700円 27,000×21.6%=5,832→5,800円
消費税 30,000×7.8%=2,340→2,300円 33,000×7.8%=2,574→2,500円
地方消費税 600円 700円
通関料 200円 200円
支払額 5,800円 9,200円

差は3,400円です。もし限度数量を超える扱いになって30%が当たると、関税は8,100円まで上がり、支払額は11,700円になります。関税・消費税計算ツールで品目区分を変えて試すと、この段差が見えます。

品目別の早見表

買うもの 簡易税率 1万円以下の免税 実務上の目安
織物製のシャツ、コート、パンツ 区分4(10%) 使える 1万円以下なら0円
ニットのTシャツ、セーター、カーディガン 使えない 使えない 10.9%前後+消費税
革製ハンドバッグ、手袋 使えない 使えない 8%前後、装飾によっては14〜16%
革製の財布 使えない 使える 1万円以下なら0円、超えると10%前後
革靴、スキー靴、本底が革製の履物 使えない 使えない 21.6%以上。枠超過なら30%または4,300円/足
プラスチック製バッグ、ガラス製品、家具 区分5(3%) 使える 軽い
陶磁器、紙製品、鉄鋼製品、ゴム製品 区分6(無税) 使える 関税は0円だが消費税は残る
毛皮製品 区分2(20%) 使える 簡易税率のなかでは最も重い
身辺用模造細貨類(卑金属製以外のアクセサリー) 使えない 使える 一般税率で品目ごとに確認
書籍、雑誌 無税のため対象外 - 消費税のみ

仕入れる立場で実際にやっていること

ここからは一般論ではなく、運営者が海外から仕入れる側で実際に使っている判断です。

バッグを仕入れる場合、この税率差は毎回の原価に直接効きます。イタリアのアウトレット通販YOOXの日本向け販売はDDP、つまり関税・消費税込みの価格なので、表示価格がそのまま原価になり、受け取り時の追加請求はありません。一方BUYMAで海外発送の商品を買うと関税は購入者負担です。2026年9月4日にセール一覧を実測して原価を計算したときは、バッグ類で5,000〜6,000円を上乗せしないと本当の原価にならないという結果でした。「関税負担なし」の表示がある商品だけが表示価格イコール原価です。

表示価格が同じ10万円でも、DDPの店と関税別の店では原価が5,000円以上違います。革製バッグは簡易税率も少額免税も使えない品目なので、この差は値引率が大きい商品ほど効いてきます。利幅の薄い商品を扱うときほど、税率表ではなく「その店が税込みかどうか」を先に見るほうが実利があります。

買う前に確認すると効く順番

  1. その店の日本向け販売がDDP(関税込み)かどうか
  2. 買う品目が革・ニット・履物に当たるか
  3. 当たるなら、課税価格が1万円以下でも課税される前提で原価を組む
  4. 金額が大きいなら、事前教示制度で品目分類と税率を税関に確認する

よくある質問

合成皮革のバッグも革製品として扱われますか

実行関税率表では、外面が革製またはコンポジションレザー製のものと、プラスチックシート製・紡織用繊維製のものが別の項に分かれています。合成皮革は素材によって分類が変わるため、商品説明の素材表記を確認する必要があります。判断が難しい場合は事前教示制度を使ってください。

ニットかどうかはどう見分けますか

関税率表の用語では、メリヤス編みまたはクロセ編みのものがニットです。英語の商品説明では knit、jersey、sweater、cardigan といった語が目印になります。織物製は woven です。素材ではなく製法での区分なので、綿100%でも編んであればニットです。

WTO協定税率と基本税率はどちらが適用されますか

通常は低いほうが適用されます。多くの品目でWTO協定税率のほうが低く設定されています。加えて経済連携協定の対象国からの輸入で原産地証明などの条件を満たせば、さらに低い税率または無税になる場合があります。

簡易税率と一般税率を品目ごとに選べますか

選べません。輸入者が一般税率を希望する場合は、その貨物の全部について一般税率が適用されます。部分的な適用はできないため、1つの荷物に複数品目が入っている場合は、全体でどちらが有利かを計算して決めることになります。

関税率は毎年変わりますか

暫定税率は年度ごとに適用期限が延長されており、令和8年度も404品目の暫定税率が1年延長されています。実行関税率表自体も年に数回改正されます。この記事は2026年8月8日版を参照していますが、金額の大きい輸入をする前には最新版を確認してください。

まとめ

品目別の簡易税率、押さえる点

  • 簡易税率は課税価格20万円以下の荷物に使える7区分の表。最も重い毛皮でも20%
  • 革製品、ニット衣類、履物、身辺用模造細貨類はこの表から除外され、一般税率で計算される
  • 革のハンドバッグ・手袋とニット衣類と履物は、課税価格1万円以下の免税からも外れる。少額でも課税される。革の財布は1万円以下なら免税
  • 100ドルのシャツでも、織物製なら0円、ニットなら1,900円になる
  • 革靴は21.6%以上、枠を超えると30%または4,300円/足のうち高いほうという水準
  • 仕入れに使うなら、税率表より先に「その店がDDPかどうか」を確認するほうが原価への影響が大きい

日本から海外へ売る側の送料と関税をまとめて比べたい場合は発送コスト比較ツール、海外から日本への輸入を試算する場合は関税・消費税計算ツールを使ってください。免税ラインの判定や端数処理まで通した計算手順は計算式の記事

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出典 税関「少額輸入貨物の簡易税率」、税関カスタムスアンサー1006「課税価格の合計額が1万円以下の物品の免税適用について」、税関「輸入統計品目表(実行関税率表)」2026年8月8日版(第42類・第61類・第64類)、関税定率法第3条の3および同施行令第16条の3、税関「外国為替相場(課税価格の換算)」2026年9月20日から26日適用分、MIPRO「小口輸入の通関手続き 2026」、財務省「関税定率法等の一部を改正する法律案について」(令和8年2月)。実務上の数値は運営者の2026年9月の仕入れ記録。いずれも2026年9月時点で確認。

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