関税ナビの関税・消費税計算ツールは、海外通販で買ったものを日本へ取り寄せるときに関税と消費税がいくらかかるかを試算するツールです。入力するのは商品価格・海外発送料・為替レート・品目カテゴリの4つだけですが、結果を正しく読むには課税価格という数字がどう作られているかを知っておく必要があります。このページでは各入力欄の意味と、免税と表示されたときに実際どこまで信用してよいのかを説明します。
2026年10月17日に、このツールの計算式を直しました。旧式は商品価格だけでなく海外発送料にまで0.6を掛け、端数処理もしていなかったため、初期値の場合で支払総額が517円高く出ていました。今は税関の原文に合わせて商品価格だけに0.6を掛け、各段階で端数を切り捨てています。あわせて品目区分も、「革靴・ハンドバッグ等30%」「ニット製衣類15%」など税関の簡易税率表と合わない区分だったものを、表に合わせて作り直しました。このページの説明と計算例も新しい式に合わせてあります。
ツールの場所と入力項目
ツールは 関税・消費税計算ツール にあります。向きは海外から日本への輸入で、日本から海外へ送る側の計算は別のツールになります。入力は打ち込んだそばから再計算され、計算ボタンはありません。
| 項目 | 初期値 | 入れる数字 |
|---|---|---|
| 商品価格 | 120 USD | 海外通販サイトでの商品代金。現地の小売価格 |
| 海外発送料 | 15 USD | 売り手に払う国際送料 |
| 為替レート | 148 円/USD | 円換算に使うレート。自動取得はしないので手で直す |
| 品目カテゴリ | 衣類・衣類附属品(ニットを除く) 10% | 少額輸入貨物の簡易税率の区分 |
品目カテゴリは、税関の簡易税率表のとおりの6区分と、簡易税率の対象外になる品目の一般税率の目安4区分、それに書籍・雑誌の区分です。簡易税率は衣類・衣類附属品(ニットを除く)10%、毛皮製品・トマトソース・氷菓など20%、コーヒー・茶(紅茶を除く)など15%、プラスチック製品・ガラス製品・卑金属製品・家具3%、ゴム・紙・陶磁製品・鉄鋼製品など無税、その他のもの5%。一般税率の目安はニット製衣類(Tシャツ・セーター等)10.9%、革製ハンドバッグ(一般のもの)8%、革製の財布(一般のもの)10%、革靴(本底が革製)21.6%で、実行関税率表(2026年8月8日版)のWTO協定税率などによる数字です。書籍・雑誌は関税なしで消費税のみ(0%)です。2026年10月17日時点の区分です(革製の財布の区分は10月21日に追加)。
課税価格の作られ方
結果表示には「課税価格(商品価格× 0.6、円未満切捨て)」という行があります。ツールが税金を計算するとき、商品代そのものではなくこの課税価格に税率を掛けています。式はこうです。
- 課税価格 = 商品価格 × 為替レート(円未満切捨て) × 0.6(円未満切捨て)
0.6を掛けているのは、税関の「少額輸入貨物の簡易税率」のページに「個人の方がご自身の個人的使用の目的で輸入する貨物の課税価格は、海外小売価格に0.6を掛けた金額となります。」とあるためです。小売価格には現地の流通コストが乗っているので、そのままの額を課税の基準にはしない、という考え方です。0.6を掛けるのは海外小売価格、つまり商品価格だけで、海外発送料は課税価格に足しません。なお、この0.6掛けは2028年4月1日に廃止される予定です(令和8年法律第5号)。
初期値で追ってみます。
- 商品120 USD × 148円 = 17,760円
- 17,760 × 0.6 = 10,656円(課税価格)
ここから先は次の順番で、段階ごとに端数を切り捨てます。
- 関税の課税標準 = 課税価格の1,000円未満切捨て = 10,000円
- 関税 = 10,000 × 10% = 1,000円(100円未満切捨て)
- 消費税の課税標準 = (課税価格 + 関税)の1,000円未満切捨て = (10,656 + 1,000 = 11,656) → 11,000円
- 消費税(国税) = 11,000 × 7.8% = 858 → 800円(100円未満切捨て)
- 地方消費税 = 800 × 22/78 = 225 → 200円(100円未満切捨て)
- 消費税 = 800 + 200 = 1,000円
- 支払総額 = 商品+送料の円換算 + 関税 + 消費税 = 19,980 + 1,000 + 1,000 = 21,980円
見落とされやすいのは消費税の基数です。消費税は課税価格に関税を足した額にかかります。関税にも消費税がかかる構造なので、税率の高い品目ほど二重に効いてきます。
支払総額の行は、商品代と送料そのものを円換算した19,980円(135 USD × 148円)に税を足した額です。送料は課税価格には入りませんが、支払う額には入ります。課税価格の10,656円に足しているわけではありません。ここを取り違えると1万円近く安く見えてしまいます。
3種類のバナーの意味
結果の上に出る帯は、課税価格の金額によって3種類に切り替わります。
免税(課税価格1万円以下)
「課税価格が1万円以下のため、原則として関税・消費税は免税です」と緑の帯が出ます。関税も消費税も0円で計算されます。ただし品目カテゴリでニット製衣類・革製ハンドバッグ・革靴の区分を選んでいるときは、1万円以下でもこの帯は出ません(後述)。
課税価格が1万円ということは、商品価格の円換算で約16,666円までということです。初期値の148円/USDならおおよそ112ドルが分かれ目になります。送料は課税価格に入らないので、分かれ目には関係しません。商品価格が112ドルなら課税価格9,945円で免税、113ドルなら10,034円で課税になるので、買い物かごの中身を調整するときはこのラインを意識すると効きます。
課税(課税価格1万円超〜20万円)
「課税価格が1万円を超えるため、関税・消費税がかかります」と表示され、簡易税率での計算結果が出ます。ツールが想定している標準的な状態です。
簡易税率の対象外(課税価格20万円超)
「少額輸入貨物の簡易税率の対象外です」という警告が出ます。この警告が出ているときの金額は参考値にもなりません。実際には品目のHSコード判定による一般関税率が適用され、簡易税率の6区分とは税率の体系そのものが変わります。20万円を超える買い物をするときは、ツールの数字で判断せず税関の事前教示制度などを使ってください。
1万円以下でも免税にならない品目の扱い
制度上は、課税価格が1万円以下でも免税にならない品目があります。ツールがそれをどう扱うかと、自分で気をつけたいところを分けて書いておきます。
ニット製衣類・革製ハンドバッグ・革靴は課税で計算する
税関の原文では、ニット製衣類、ハンドバッグなどの革製品、履物には簡易税率が適用されず、一般税率になります。品目カテゴリで「ニット製衣類(Tシャツ・セーター等)10.9%」「革製ハンドバッグ(一般のもの)8%」「革靴(本底が革製)21.6%」のどれかを選ぶと、ツールは課税価格が1万円以下でも免税にせず、課税されるものとして計算します。結果の上には「課税価格は1万円以下ですが、革製のハンドバッグ・ニット製衣類・履物などはこの免税の対象外です(関税定率法第14条第18号)。免税にせず計算しています」という帯が出ます。
例として、革のハンドバッグを商品90 USD・送料10 USDで買ったとします。
- 90 × 148円 = 13,320円、× 0.6 = 7,992円(課税価格。1万円以下だが免税の対象外)
- 関税 = 7,000円(1,000円未満切捨て) × 8% = 560 → 500円(100円未満切捨て)
- 消費税の課税標準 = 7,992 + 500 = 8,492 → 8,000円
- 消費税 = 国税600円(8,000 × 7.8% = 624の100円未満切捨て) + 地方100円(600 × 22/78 = 169の100円未満切捨て) = 700円
- 支払総額 = (90 + 10) × 148円 = 14,800円 + 関税500円 + 消費税700円 = 16,000円
税額は合わせて1,200円です。1万円以下だからと免税のつもりでいると、この1,200円をまるごと見落とします。安い買い物ほど比率としての影響は大きくなります。
なお、ツールの税率は一般のものの目安です。装飾付きのバッグは14%前後、枠を超えた革靴は30%以上になることがあります。高額品を買うときは、税関の事前教示制度で確認してください。
衣類・衣類附属品(ニットを除く)を選んだときの注意
「衣類・衣類附属品(ニットを除く) 10%」は、課税価格が1万円以下なら免税と表示します。1万円以下でも免税にならない衣類は、関税定率法施行令第16条の3では編物(ニット)のものです。ニットの服をこの区分で入れると免税と出てしまうので、編物の服は「ニット製衣類」の区分を選んでください。結果の帯にも同じ注意を出しています。
計算に入っていない費用
ツールが出すのは関税と消費税だけです。実際に荷物を受け取るまでには、これ以外の費用がかかることがあります。
- 通関業者の通関手数料。ツールの計算には含めていません
- 国際宅配便の立替手数料。配達時に税金と一緒に請求される形が多い
- 国内配送料や保管料。通関が長引いた場合など
これらは事業者ごとに金額が違い、公表されていない場合もあるため、ツールでは一律に扱わない方針にしています。結果の総額は「税金までの金額」と考えて、受け取り時の請求額はそれより少し上振れすると見ておくのが実際に近くなります。
簡易税率と一般税率の切り分け
このツールが使っているのは簡易税率です。課税価格20万円以下の少額輸入貨物で、個人が自分で使うために輸入する場合を想定した区分になっています。次のどれかに当てはまるときは、簡易税率ではなく品目のHSコードに基づく一般関税率が適用されます。
- 課税価格が20万円を超える
- 転売など商業目的の輸入である
- 米・革製品など、簡易税率の適用が除外されている品目である
ツールでは、このうちニット製衣類・革製ハンドバッグ・革製の財布・革靴を、簡易税率の対象外の区分として一般税率の目安で計算できます。革製の財布は簡易税率は使えませんが、1万円以下の免税からは除かれていないので(関税定率法施行令第16条の3)、ツールも1万円以下なら免税と表示します。
商業目的かどうかは金額ではなく用途で決まります。仕入れとして輸入するなら、たとえ1個で安くても個人輸入の扱いにはなりません。
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まとめ
関税・消費税計算ツールの要は課税価格です。商品価格を円に直してから60%を掛けた額が課税価格で、海外発送料は含みません。税金はすべてこの数字を起点に、段階ごとに端数を切り捨てて計算されます。免税の分かれ目は課税価格1万円で、商品価格の円換算で約16,666円、148円/USDなら約112ドルです。送料は分かれ目に関係しません。ニット製衣類・革製ハンドバッグ・革靴は簡易税率の対象外で1万円以下でも免税にならないため、ツールはこの3区分を一般税率の目安で課税として計算します。革製の財布は一般税率ですが、1万円以下なら免税です。ニットの服は「衣類・衣類附属品(ニットを除く)」ではなく「ニット製衣類」の区分を選んでください。通関手数料は計算に含まれていないので、受け取り時の請求はやや上振れすると見ておくのが安全です。税率・制度は2026年10月17日時点の内容です。