関税ナビの3つのツールはどれも「概算です」と断っていますが、概算にも濃淡があります。制度として公表されている数字を写している部分はほとんどぶれませんし、実例1件から推計している部分は数千円単位で外れます。この記事ではどこが信頼できてどこが信頼できないのかを、分かっている誤差の原因ごとに切り分けて書きます。都合の悪い部分も隠さず載せるので、判断に使う前に目を通してください。2026年9月時点の状態です。
信頼度は3段階に分かれる
| 信頼度 | 該当する部分 | 根拠 |
|---|---|---|
| 高い | EMS・国際エアパケットの送料、免税ライン、消費税率、容積重量の計算 | 公表されている料金表と制度 |
| 中くらい | Zonos手数料、eBay手数料の初期値 | 運営者の実測。ただし件数が少ない |
| 低い | DHL・FedEx(CPaSS)の送料、品目カテゴリごとの関税率 | 実例1件からの推計、または区分による当てはめ |
ぶれにくい部分
EMS・国際エアパケットの送料
日本郵便の公式料金表(米国=第4地帯)を、「〜gまで」の段階料金のまま使っています。米国宛てEMSは500gまで3,900円、600gまで4,180円、1kgまで5,300円、2kgまで7,900円、国際エアパケットは100gまで1,200円で、そこから100gごとに210円ずつ上がり2,000gまで5,190円です。EMSは特別追加料金込み、国際エアパケットは国際特定記録料370円込みの金額で、実際に払った送料3件(EMS 226gで3,900円、国際エアパケット130gで1,410円、220gで1,620円)とも1円単位で一致しています。料金改定がない限り動かない数字なので、ここは安心して使えます。2026年10月17日に前後の帯から直線で補間する方式をやめてこの料金表に差し替えました(以前の表では国際エアパケットが250〜430円高く、EMSは600g以上で安く出ていました)。ただし追加補償や特殊取扱の料金は含んでいません。EMSの基本補償は2万円までなので、それを超える商品を送るなら追加補償の料金を別に見込んでください。
免税ラインと消費税
課税価格1万円以下は原則免税、消費税は地方消費税込みで10%、簡易税率は課税価格20万円以下の少額輸入貨物向け。いずれも制度としての公表値をそのまま使っています。課税価格を商品価格の60%とする扱いも同様で、税関の原文どおり海外発送料は課税価格に含めていません。
容積重量
縦×横×高さ÷5,000で計算しています。国際宅配便の航空輸送で一般的な係数です。計算式そのものに誤差はありません。ただし係数は事業者やサービスによって6,000を使う場合があるため、使う業者の公表値は確認してください。
誤差が出やすい部分
DHL・FedEx(CPaSS)の送料は実例1件からの推計
ここがいちばん大きな弱点です。CPaSS経由4社の金額は、250g・15×10×8cmの荷物でCPaSSから取った見積もり1件を基準に、請求重量の比で伸縮させているだけです。基準値そのもの(DHL 5,961円、SpeedPAKエコノミー 4,294円など)は実際の見積もり画面の数字ですが、そこから重量を変えたときの伸び方は検証されていません。
とくに軽い荷物で外れます。実重量120gのネックレスをDHLで送ったときの実額は5,408円でしたが、この重量帯では概算が実額より30〜40%高く出るケースが確認されています。倍率には0.6倍という下限をかけてあるため、いくら軽くても250gの0.6倍より下がらない作りになっていることも一因と考えられます。
ただし原因は送料側の下限なのか、関税側の品目税率区分が実際より高いのかを特定できていません。憶測で係数をいじると別の重量帯で外れるので、実測データが増えるまでは注記を強めるだけにとどめています。CPaSSの数字は「郵便と比べてどちらが安い側か」を見る程度に使い、金額そのものはCPaSSの見積もり画面で確認してください。
Zonos手数料は実測3件だけの暫定式
郵便局から米国へ販売品を送るときにかかるZonos Prepayの手数料です。現在の式は「556円+関税額×10.3%」です(2026年9月21日改定)。
この式は実測3件から作りました。トレーディングカード(関税0円で手数料552円)、ボールペン(関税451円で手数料608円)、腕時計(関税2,316円で手数料793円)です。当初は「申告価格の4%」という比例式、次に「申告価格×4%と600円の大きいほう」というフロア方式を試しましたが、どちらも実額とずれました。腕時計の内訳が判明したことで、手数料は申告価格ではなく関税額に連動すると分かり、現行式なら3件とも誤差1%以内に収まります。
実測3件だけから決めた係数なので、まだ暫定値です。関税0円の品目でも556円の基本料はかかります。より高額な品目や、より関税率の高い品目での検証はまだできていません。実測が増え次第、係数を見直します。
関税率はカテゴリ選択による当てはめ
発送コスト比較ツールの関税込みモードには品目カテゴリが7区分、関税・消費税計算ツールには簡易税率の6区分と一般税率の目安3区分などがあります。どちらも選ぶだけで税率が決まりますが、実際の税率は品目のHSコード・HTSコードをどう判定するかで決まります。区分の数がまるで足りません。
運営者側の実測でも、腕時計は内容品価格の16.8%、ボールペンは12.5%、トレーディングカードは0%と大きく開いています。ボールペンに至っては、そもそも対応するカテゴリがツールにありません。似た区分で代用すると、その時点で税率がずれます。同じ「アクセサリー」でも素材や加工で税率が変わるので、カテゴリ選択はあくまで当たりをつけるためのものと考えてください。
通関手数料は計算に入っていない
関税・消費税計算ツールが出すのは関税と消費税だけです。通関業者の通関手数料は含めていません。国際宅配便で受け取る場合の立替手数料も同様です。事業者ごとに金額が違い公表されていない場合もあるため、一律の数字で扱わない方針にしています。受け取り時の請求額は、ツールの総額より上振れすると見ておいてください。
知っておくと結果を読み違えない仕様
- 為替レートは自動取得しません。初期値のまま使うとレートの差だけ結果がずれます
- EMSと国際エアパケットの料金は実重量で引いています。容積重量はDHL・FedEx(CPaSS)の請求重量の計算と、画面右上の請求重量の表示に使われます。国際エアパケットが使えるかどうかは、実重量2kg以内・縦横高さの合計90cm以内・最も長い辺60cm以内・貴重品でないことで判定し、外れたときは結果の下の注記に理由が出ます
- 関税・消費税計算ツールは、課税価格1万円以下を原則免税と表示します。ただしニット製衣類・革製ハンドバッグ・革靴の3区分は一般税率の目安で計算し、1万円以下でも免税にせず「課税価格は1万円以下ですが、…この免税の対象外です(関税定率法第14条第18号)」の帯を出します。革製の財布の区分は一般税率の目安で計算しますが、1万円以下の免税からは除かれていないので免税と表示します。「衣類・衣類附属品(ニットを除く)」は1万円以下なら免税と表示します。ニットの服をこの区分で入れると免税と出てしまうので、編物の服は「ニット製衣類」の区分を選んでください
- eBay出品損益シミュレーションは、関税を売上合計に掛けています。実際の基数は申告する内容品価格なので、購入者負担送料が大きい出品では関税をやや多めに見積もります
- 同じツールでZonos手数料は独立した項目になっていません。郵便局から送る低額品は、手取りから560円ほど引いて見てください(実測範囲は552〜793円)
誤差に殺されない使い方
弱点が分かっていれば使いようはあります。
- 送り方を決めるときは発送コスト比較ツールの「関税なしで比較」を使う。関税率という不確実な要素が入らないぶん精度が高くなります
- CPaSSの金額は順位の目安として見て、実際に出す直前にCPaSSの見積もり画面で確定させる
- 関税込みの総額は、上振れを見込んで値付けする。とくに1万円未満の低額品は手数料の比率が重くなります
- 関税率は自分が過去に払った実額から逆算した率に置き換える。eBay出品損益シミュレーションなら料率欄を直接書き換えられます
まとめ
信頼してよいのは、公表値を写している部分です。EMSと国際エアパケットの送料、免税ライン1万円、消費税10%、容積重量の計算はほとんどぶれません。一方でDHL・FedEx(CPaSS)の送料は実例1件からの推計で軽量品では30〜40%高く出るケースがあり、Zonos手数料は実測3件だけの暫定式(556円+関税額×10.3%、誤差1%以内)でより高額な品目は未検証、関税率はカテゴリ選択による当てはめにすぎず、通関手数料は計算に含まれていません。ツールは送り方の順位を決める道具として使い、最終的な金額は各社の見積もり画面と実績値で確かめるのが確実です。実測データが増え次第、式は更新していきます。