関税と送料の基礎知識

輸入した物をメルカリ・ヤフオクで売る前に|関税・送料込みの原価と落札相場を比べて仕入れを決める(2026年10月)

海外の仕入れサイトで1個数ドルの雑貨を見つけると、メルカリやYahoo!オークションの出品価格と比べて「これなら売れば利益が出る」と考えがちです。ところが、日本に着くまでには送料がかかり、輸入時には関税と消費税がかかります。売れたあとは販売手数料と送料が引かれます。仕入れてよいかどうかは、これらを全部入れた1個あたりの原価と、国内で実際に売れた値段から手数料と送料を引いた手取りを比べて決めます。この記事では、その手順を計算例と一緒に整理しました。

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  • 売るための輸入は、税関の原文でいう「その他の貨物」にあたり、個人使用の0.6掛けは使えない。課税価格は商品の価格に運送費と保険料を足した額
  • 1個あたりの原価は「(課税価格+関税+消費税)÷個数」。スマホスタンド100個を商品300USD+送料60USDで仕入れた例では約642円
  • メルカリもヤフオクも手数料は売値の10%。ネコポス210円で送るなら、手取りは「売値×0.9−210円」
  • 原価642円を回収できる最低の売値はネコポスで947円。落札相場がこれを上回るかで判断する
  • 比べるのは出品中の値段ではなく、実際に売れた値段(落札相場)
  • 課税事業者なら輸入時の消費税は仕入税額控除の対象。仕入税額控除は課税事業者が行うものなので、免税事業者は輸入時の消費税も原価として見込む

確認日 2026年10月19日〜25日(税関・国税庁・メルカリ・Yahoo!オークションの公式ページ)、オークファンは2026年10月27日

売るための輸入は「その他の貨物」で0.6掛けにならない

税関の「少額輸入貨物の簡易税率」のページには、「個人の方がご自身の個人的使用の目的で輸入する貨物の課税価格は、海外小売価格に0.6を掛けた金額となります。その他の貨物の課税価格は、商品の価格に運送費および保険料を足した金額になります。」とあります。

メルカリやヤフオクで売るために輸入する物は、自分で使う物ではないので「その他の貨物」の側です。AliExpressで普段の買い物をするときの感覚で0.6を掛けて計算すると、税額を少なく見積もることになります。0.6掛けを使った場合と比べた具体的な差は中国から仕入れるときの関税と消費税|個人輸入と違う課税価格の計算と費用の例にまとめています。

課税価格の合計が20万円以下なら簡易税率が使えます。プラスチック製品は3%、その他のものは5%などです。消費税は簡易税率に含まれず、別に計算されます。課税価格の合計が1万円以下なら関税と消費税は免税ですが、革製のカバンやハンドバッグ、編物製衣類(Tシャツ、セーターなど)などは除かれています。仕入れでは送料も課税価格に入るので、商品代だけで1万円を下回っていても、送料を足すと超えることがあります。

見積もりがFOBやEXWなど、輸入港までの運賃が入っていない条件なら、その運賃も足します。条件ごとに何を足すかは見積もりのEXW・FOB・CIF・DDPで関税はどう変わる?課税価格に足す運賃・保険料と計算例で説明しています。

1個あたりの原価は税と送料を全部入れて個数で割る

計算例の前提です。円換算は1USD=158.02円で、欧州中央銀行の参照レート(2026年10月16日)から出した値です。実際の通関では税関長が公示するレートで換算されます。消費税は国税7.8%、地方消費税は国税の22/78です。関税の計算では課税価格の1,000円未満を切り捨て、消費税の課税標準は課税価格+関税の1,000円未満を切り捨て、税額は100円未満を切り捨てます。

品物はプラスチック製のスマホスタンドを100個、商品300USD+送料60USD=360USDで仕入れた場合です。

項目 金額
課税価格 56,887円(360USD×158.02)
関税(簡易税率3%) 1,600円(56,000円×3%=1,680円を切り捨て)
消費税の課税標準 58,000円
消費税(国税) 4,500円
地方消費税 1,200円
税合計 7,300円
1個あたりの原価 約642円((56,887円+7,300円)÷100個=641.87円)

この642円には、国内で売るときの送料と梱包材の費用は入っていません。それは次の手取りの計算で引きます。配送業者が関税を立て替えた場合の手数料など、輸入のときにほかに払った費用があれば、それも足してから個数で割ってください。

国内で売ったときの手取りは手数料10%と送料を引く

メルカリの公式ガイドには「商品出品時には出品料はかかりません。」「出品した商品が購入され取引が完了した際に、販売価格から10%を販売手数料としていただいております。」とあります。Yahoo!オークションの利用料金のページでは、出品システム利用料は0円、落札システム利用料は「落札金額の 10% (税込)」です。会員の種類やカテゴリによる違いは、詳しくは公式の利用料金ガイドで確かめてください。

どちらも売値の10%が引かれるので、送料を出品者が負担する場合の手取りは同じ式で出せます。

手取り=売値−売値×10%−送料

スマホスタンドのような小物なら、らくらくメルカリ便のネコポス(全国一律210円、税込)か、宅急便コンパクト(全国一律450円、税込、専用資材70円が別)を使うことが考えられます。

送り方 手取りの式 売値1,500円のときの手取り 1個の利益(原価642円)
ネコポス 売値×0.9−210円 1,140円(1,500−150−210) 498円
宅急便コンパクト 売値×0.9−520円 830円(1,500−150−450−70) 188円

同じ売値でも、送り方で1個の利益が300円以上変わります。厚みや大きさでネコポスに入るかどうかは、仕入れる前に商品ページの寸法で確かめておきたいところです。メルカリでは売上を引き出すときに、振込手数料が一律200円かかります。売れた個数ではなく振込申請にかかる費用なので、1個あたりの計算には入れていません。

原価を回収できる最低の売値を先に出しておく

手取りの式を並べ替えると、原価を回収できる最低の売値が出ます。

最低の売値=(1個あたりの原価+送料)÷0.9

送り方 計算 最低の売値
ネコポス (642+210)÷0.9=946.67 947円
宅急便コンパクト (642+520)÷0.9=1,291.11 1,292円

これは利益0円の値段です。利益を残したいなら、ほしい利益を原価に足してから同じ式に入れます。売れ残りや値下げも起こるので、最低の売値ぎりぎりで売れる商品は見送る、という線を自分で決めておくと判断がぶれません。

落札相場は売れた値段で見る

最低の売値が出たら、国内でその商品が実際にいくらで売れているかと比べます。見るのは出品中の値段ではなく、売れた値段です。出品中の値段は売り手の希望で、その値段で売れるとは限りません。売れずに残っている出品ほど目に入りやすい、ということもあります。

比べ方は次のとおりです。

  1. 同じ商品、または型や大きさが近い商品の売れた値段を集める
  2. 送料込みの出品か送料別の出品かを揃える。手取りの式は送料を出品者が負担する前提なので、送料別で売れた値段なら、その分を足して比べる
  3. 売れた値段の多くが最低の売値(ネコポスなら947円)を上回っていれば候補、下回る値段で売れていることが多ければ見送る

売れた件数にも目を向けてください。高い値段で1件だけ売れていても、同じ値段で100個売れるとは限りません。100個仕入れるなら、売れた件数がそれなりにあるかを見ておきます。数が読めないときは、1万円以下の免税に収まる少ない数で試しに輸入し、売れ行きを見てから本注文に進む方法もあります。

落札相場はオークファンで調べられる

国内の売れた値段をまとめて調べる方法の一つが、オークファンです。トップページによると、検索の対象はオークションがYahoo!オークション(旧ヤフオク!)、モバオク、セカイモン、ショッピング・フリマがメルカリ、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングです。メルカリとヤフオクの両方を一度に見られるので、この記事の比べ方に合っています。

トップページには「※期間の範囲指定は 無料会員登録 が必要です。」とあります。季節で売れ方が変わる商品や、去年の同じ時期の値段を見たい商品は、期間を区切って調べられると比べやすくなります。無料の会員で見られる期間などの細かい違いは、公式の会員別の機能表で確かめてください。

オークファンには利益計算ツールもあり、公式のヘルプでは「各マーケットプレイス(Yahoo!オークション(旧ヤフオク!)、アマゾン、イーベイ、タオバオ)の手数料や為替などの面倒な計算をせずに利益率が簡単にわかります」と説明されています。対象にメルカリは挙がっていないので、メルカリで売る場合はこの記事の式で手取りを出してください。

まずは無料会員で、仕入れを考えている商品の売れた値段を見て、最低の売値と比べるところから始めれば十分です。

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免税事業者は輸入時の消費税も原価に入れる

ここまでの642円は、輸入時の消費税5,700円(国税4,500円と地方1,200円)を原価に含めた数字です。消費税の課税事業者なら、輸入時の消費税は仕入税額控除の対象になります(国税庁)。仕入税額控除は課税事業者が行うものなので、免税事業者は輸入時の消費税もそのまま原価として見込みます。

課税事業者が輸入時の消費税を原価から外して考える場合、1個あたりは(56,887円+1,600円)÷100個=584.87円で約585円、ネコポスでの最低の売値は(585+210)÷0.9=883.33で884円になります。どちらで計算するかは自分の届出の状況に合わせ、迷う場合は642円の側で判断しておくと見込みが甘くなりません。

関税計算ツールで仕入れの税額を出す

当サイトの関税・消費税計算は、個人使用(0.6掛け)を前提にした計算です。仕入れの税額を見積もるときは、商品価格の欄に「(商品代+送料)÷0.6」を入れ、送料の欄は0にしてください。この記事の例なら360USD÷0.6=600USDで、課税価格は仕入れと同じ56,887円になります。出てきた税額を課税価格に足して個数で割れば、1個あたりの原価です。

AliExpressで自分用に買うときの税の目安はAliExpressで買うと関税・消費税はかかる?受け取りで払う額の目安、反対に国内で仕入れて海外へ売る場合の考え方はeBay輸出の仕入れ値の上限|売れる値段から逆算して国内相場と比べるにまとめています。

まとめ

販売用の輸入は「その他の貨物」なので0.6掛けは使えず、商品の価格に送料と保険料を足した額が課税価格になります。関税と消費税を足して個数で割ったものが1個あたりの原価で、スマホスタンド100個の例では約642円でした。メルカリもヤフオクも手数料は売値の10%なので、最低の売値は「(原価+送料)÷0.9」で出せ、ネコポスなら947円です。この値段を、出品中の値段ではなく実際に売れた値段と比べ、上回っていれば仕入れの候補にします。免税事業者は輸入時の消費税も原価に入れて計算してください。

本記事は2026年10月25日時点(オークファンは2026年10月27日時点)の公式情報にもとづく関税ナビ編集部の整理です。法的・税務の個別の助言ではありません。課税価格や消費税の扱いなど個別の税務判断は、税関や税務署に確認してください。

出典

-関税と送料の基礎知識